相補性とは、量子力学において、2つの互いに排他的である特性が、同時に存在する可能性を示す概念です。この概念は、デンマークの物理学者ニールス・ボーアによって提唱されました。
例えば、光は波でありながら粒でもあります。光の波としての性質と粒としての性質は、どちらか一方が観測されると、もう一方は観測できなくなります。これは、波と粒という2つの性質が互いに排他的であるためです。
また、粒子の位置と運動量も、相補的に関係しています。粒子の位置を正確に測ろうとすると、運動量が不正確になり、逆に運動量を正確に測ろうとすると、位置が不正確になります。これは、位置と運動量という2つの性質が、同時に正確に測定できないためです。
相補性は、量子力学の基本概念であり、量子力学の世界を理解する上で重要な役割を果たしています。
相補性は、量子力学以外にも、他の分野にも応用されています。例えば、生物学においては、生命の持つ複雑性と秩序を理解するための概念として、相補性が用いられています。
また、哲学においても、相補性は、存在の二重性や、矛盾と調和の関係を理解するための概念として、用いられています。