ウェルテル効果とは、マスメディアによる自殺報道の影響で、自殺者が増える現象です。
ウェルテル効果の由来
ウェルテル効果の由来は、18世紀にドイツの文豪ゲーテが発表した小説『若きウェルテルの悩み』です。この小説の主人公ウェルテルは、失恋と社会の矛盾に苦しみ、拳銃自殺で命を絶ちます。
この小説が出版された後、主人公ウェルテルを模倣した若者たちの自殺が相次ぎました。その数は、出版前の1年あたりの平均自殺者数と比べて、出版後の1年で2倍に増加したという報告もあります。
このことから、著名人の自殺報道が、自殺者を増やす可能性があることが指摘されるようになりました。そして、この現象は、ウェルテルの名前をとって「ウェルテル効果」と呼ばれるようになりました。
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ウェルテル効果の具体例
日本におけるウェルテル効果の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
1903年:藤村操の自殺
明治期の詩人、藤村操が華厳滝に飛び降り自殺した際に、その遺書が新聞で大きく報道されました。その結果、藤村操と同じように華厳滝で自殺する若者が相次いだことから、「藤村操ショック」と呼ばれる社会問題となりました。
1986年:岡田有希子の自殺
アイドル歌手、岡田有希子が自殺した際に、その報道が大きな反響を呼びました。その結果、岡田有希子と同じように自殺する若者が相次いだことから、「ユッコ・シンドローム」と呼ばれる社会問題となりました。
2003年:hideの自殺
ロックミュージシャン、hideが自殺した際に、その報道が大きな反響を呼びました。その結果、hideと同じように自殺する若者が相次いだことから、「hideショック」と呼ばれる社会問題となりました。
2020年:三浦春馬の自殺
俳優、三浦春馬が自殺した際に、その報道が大きな反響を呼びました。その結果、三浦春馬と同じように自殺する若者が相次いだことから、「春馬ロス」と呼ばれる社会問題となりました。
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ウェルテル効果の原因
この現象の原因は、大きく分けて以下の3つが挙げられます。
模倣行動
有名人の自殺は、一般の人々にも大きな影響を与えます。特に、自殺を考えている人にとっては、有名人が自殺したことをきっかけに、自殺を決意するケースがあります。これは、模倣行動と呼ばれる現象です。
社会的規範の喪失
有名人は、多くの人にとって憧れの存在です。その有名人が自殺をすると、社会に規範が失われたように感じ、自殺を模倣する人もいます。これは、社会的規範の喪失と呼ばれる現象です。
自殺の手段の知見
自殺の報道では、自殺の方法が詳細に報道されることが少なくありません。これにより、自殺を考えている人が、自殺の方法を知るきっかけとなり、自殺を決意するケースもあります。これは、自殺の手段の知見と呼ばれる現象です。
「ウェルテル効果」とは?著名人の自殺の報道が危険な理由 – パパゲーノCEOブログ
ウェルテル効果の対処法
ウェルテル効果を防ぐためには、以下の方法が有効です。
メディアによる自殺報道のガイドラインの遵守
WHO(世界保健機関)は、自殺報道のガイドラインを定めています。このガイドラインでは、自殺の手段や方法を具体的に報道しない、自殺を美化したり肯定したりしない、自殺を模倣する可能性のある表現を避けるなどの点が盛り込まれています。メディアは、このガイドラインを遵守することで、ウェルテル効果の抑制に貢献することができます。
自殺に関する正しい知識の普及
自殺は、決して選択肢ではないということを、広く周知する必要があります。また、自殺のリスクを高める要因や、自殺を防ぐための方法についても、正しい知識を身につけることが大切です。
周囲の人によるサポート
自殺のリスクが高い人は、周囲の人によるサポートが重要です。家族や友人、職場の同僚など、普段から関わりのある人が、本人の様子を注意深く観察し、必要に応じて適切な支援を行うようにしましょう。
個人でウェルテル効果に対処するためには、以下の点に注意するとよいでしょう。
自殺報道を避ける
自殺報道を目にすると、自殺に関する考えが浮かびやすくなることがあります。そのため、自殺報道を避けることが、ウェルテル効果を防ぐためには有効です。
自殺に関する情報をシェアしない
自殺に関する情報をSNSなどでシェアすると、それを見た人が自殺を思い立ってしまう可能性があります。そのため、自殺に関する情報をシェアするのは控えましょう。
心身の健康に注意する
ストレスや悩みを抱えている人は、自殺のリスクが高まります。そのため、心身の健康に注意し、必要に応じて専門家のサポートを受けるようにしましょう。
ウェルテル効果は、メディアや個人の努力によって、一定程度抑制することができます。メディアや周囲の人々が、自殺を防ぐための取り組みを継続していくことが大切です。
ウェルテル効果の同義語、類義語、関連語、反対語
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