エリクソンの発達段階とは
エリクソンの発達段階は、ドイツ出身の発達心理学者であるエリク・H・エリクソンが提唱した、人間の一生を8つの段階に分け、それぞれの段階で起こる心理的課題と、その課題を乗り越えることで獲得する要素を分類した理論です。これは「心理社会的発達理論」と呼ばれています。
8つの段階と心理社会的危機
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乳児期(0歳~1歳半):基本的信頼感 vs 不信感
- 主な課題:養育者との信頼関係を築くこと。
- うまくいくと、基本的信頼感(世界は安全で、自分は愛されているという感覚)を獲得する。
- うまくいかない場合、不信感(世界は危険で、自分は愛されていないという感覚)が強くなる。
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幼児前期(1歳半~4歳):自律性 vs 恥・疑惑
- 主な課題:自分でできることを増やし、自立心を育むこと。
- うまくいくと、自律性(自分で考え、行動できる能力)を獲得する。
- うまくいかない場合、恥や疑惑(自分がダメな人間なのではないかという気持ち)を感じる。
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幼児後期(4歳~6歳):積極性 vs 劣等感
- 主な課題:積極的に行動し、自分の能力を試すこと。
- うまくいくと、積極性(自分の能力を信じ、挑戦する意欲)を獲得する。
- うまくいかない場合、劣等感(自分は他の人よりも劣っているという気持ち)を感じる。
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学童期(6歳~12歳):勤勉性 vs 劣等感
- 主な課題:学校や社会で求められる役割を担い、勤勉さを身につけること。
- うまくいくと、勤勉性(努力すれば目標を達成できるという自信)を獲得する。
- うまくいかない場合、劣等感(自分は他の人よりも劣っているという気持ち)を感じる。
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青年期(12歳~20歳):アイデンティティ vs アイデンティティの拡散
- 主な課題:自分のアイデンティティ(自分自身とは何か)を確立すること。
- うまくいくと、アイデンティティ(自分自身を受け入れ、誇りに思う気持ち)を獲得する。
- うまくいかない場合、アイデンティティの拡散(自分自身がよくわからない、将来が見えないといった状態)になる。
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成人期(20歳~40歳):親密性 vs 孤立
- 主な課題:親密な人間関係を築くこと。
- うまくいくと、親密性(他者と深い絆で結ばれること)を獲得する。
- うまくいかない場合、孤立(他者から孤立しているという感覚)を感じる。
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壮年期(40歳~65歳):生み出すこと vs 停滞
- 主な課題:社会に貢献することや、次の世代を育てること。
- うまくいくと、生み出すこと(社会に貢献している、次の世代を育てているという充実感)を獲得する。
- うまくいかない場合、停滞(人生に意味がない、何も成し遂げていないという感覚)を感じる。
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老年期(65歳~):統合性 vs 絶望
- 主な課題:自分の人生を振り返り、統合性(自分の人生は意味があった、悔いはないという感覚)を得ること。
- うまくいくと、統合性(自分の人生に満足しているという気持ち)を獲得する。
- うまくいかない場合、絶望(自分の人生は無駄だったという感覚)を感じる。
エリクソン発達段階の重要性
エリクソンの発達段階は、人間の発達を理解する上で重要な理論です。各段階での課題を乗り越えることで、健やかな心理的発達を遂げることができるとされています。また、この理論は、教育や育児、介護などの分野でも活用されています。