トロッコ問題は、倫理学で議論される思考実験の一種です。「ある人を助けるために他の人を犠牲にするのは許されるか?」という形で、功利主義と義務論の対立

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トロッコ問題の解説

トロッコ問題は、倫理学で議論される思考実験の一種です。「ある人を助けるために他の人を犠牲にするのは許されるか?」という形で、功利主義と義務論の対立を扱います。

基本的な設定

  1. 暴走トロッコ: 制御不能のトロッコが線路を驀進しています。
  2. 二つの分岐点: トロッコは分岐点に差し掛かります。
  3. 線路上の犠牲者: 一方の線路には5人が動けずにいます。
  4. レバー操作: あなたはレバーを操作して、どちらの線路にトロッコを向かわせるか選択できます。

功利主義と義務論の対立

この状況で、あなたはどのように判断しますか?

  1. 功利主義的判断: 5人の命を救うために、1人の命を犠牲にすることを許容します。レバー操作で5人がいる線路からトロッコを外し、1人がいる線路に誘導します。
  2. 義務論的判断: 人を殺すことは常に間違っていると考えます。たとえ5人を救うためであっても、1人の命を犠牲にすることは許されないと考えます。レバー操作はせず、トロッコが5人を轢くのを止めようとはしません。

派生問題と議論の深まり

トロッコ問題は、様々な派生問題を生み出し、議論を深めています。例えば、

  • 歩道橋から突き落とす: 5人を助けるために、歩道橋にいる人を突き落とすのは許されるか?
  • 肥満男性を線路に突き落とす: 5人を助けるために、たまたまそこにいた肥満男性を線路に突き落とすのは許されるか?

これらの問題を通して、私たちは「命の価値」「個人の権利」「倫理的な責任」などについて考えさせられます。

トロッコ問題の意義

トロッコ問題には、明確な正解はありません。しかし、この思考実験を通して、私たちは道徳的な判断を迫られ、自分自身の倫理観を省みます。また、功利主義と義務論の対立を理解し、倫理学の深い問題に触れることができます。