デュルケームは、自殺は個人の精神的特徴ではなく、社会的な要因によって引き起こされるものであると主張しました。そして、社会と自殺の関係を4つの類型に分けました。
集団本位的自殺
集団本位的自殺は、集団や社会の規範や価値観によって、自殺が正当化される場合に起こります。例えば、戦争や殉教などの行為は、集団本位的自殺の例として挙げられます。
個人本位的自殺
個人本位的自殺は、個人の欲求や目標が社会の規範や価値観と矛盾する場合に起こります。例えば、失業や孤独などの状況に陥った人が、自らの生きる意味を見失って自殺に至るケースがこれに当たります。
アノミー的自殺
アノミー的自殺は、社会の規範や価値観が曖昧で、個人が自らの役割や生き方を見失った場合に起こります。例えば、経済的な不安定や社会的不安が増大する時代には、アノミー的自殺が増加する傾向があります。
宿命的自殺
宿命的自殺は、集団や社会の規範や価値観が厳格で、個人の欲求や目標が過度に抑圧される場合に起こります。例えば、古代ギリシャやローマの奴隷制社会では、宿命的自殺が頻繁に発生していました。
デュルケームの自殺の4類型は、社会学において重要な理論として位置づけられており、現代の自殺研究にも大きな影響を与えています。
なお、デュルケームは、自殺の4類型はあくまでも理想的な分類であり、実際の自殺は複数の類型が複合的に影響を与えることが多いとしています。
参考URL:
デュルケーム『自殺論』