協調の原理とは、会話において、話し手と聞き手が、お互いに協力し合って、会話の効果的な伝達を図るために、暗黙のうちに守っているとされる原則です。
協調の原理は、イギリスの哲学者である H. Paul Grice によって提唱されました。Grice は、会話において、話し手は、聞き手が、会話の目的や状況を踏まえて、合理的に解釈できるような発話をするように期待されると主張しました。
協調の原理は、以下の4つの公理(maxim)に分類されます。
- 質の公理 (Quality):情報は正確であるべきである。
- 量の公理 (Quantity):必要な情報量であるべきである。
- 関係の公理 (Relation):会話のテーマに関連する情報であるべきである。
- 様態の公理 (Manner):わかりやすく簡潔な情報であるべきである。
例えば、話し手が「今日は天気がいいですね」と言った場合、聞き手は、話し手が、聞き手と会話をするために、天気の話題を切り出したと解釈します。これは、質の公理、量の公理、関係の公理、様態の公理のすべてを守った発話であると言えます。
協調の原理は、会話の効率的な伝達を図るために重要な役割を果たしています。話し手と聞き手が、お互いに協調の原理を守ることで、会話の目的を達成しやすくなります。
協調の原理が破られる場合、会話の効率的な伝達が妨げられます。例えば、話し手が嘘をついたり、無関係な話題を切り出したりした場合、聞き手は、話し手の意図を理解しにくくなります。
協調の原理は、会話において、話し手と聞き手が、お互いに協力し合うための重要な基礎となる原理と言えます。
参考URL:
協調の原理 - Wikipedia