行為者観察者バイアスとは、他人の行動については内面に原因があると考えるのに対して、自分の行動については原因が自分の外側にあると考える傾向のことです。
具体的には、他人の行動を観察するときは、その人の性格や能力などの内的要因に原因があると考える傾向があります。一方で、自分の行動を振り返るときは、状況や環境などの外的要因に原因があると考える傾向があります。
例えば、電車に遅刻したとき、他人が遅刻したときは「あの人はいつもだらしがない」と考えますが、自分が遅刻したときは「電車が遅れた」「急な仕事が入ってきた」などと、状況や環境のせいにしてしまいがちです。
行為者観察者バイアスは、以下の2つの要因によって生じると考えられています。
自己中心性
人間は、自分を中心に世界を捉える傾向があります。そのため、自分の行動の原因を、自分自身に求めやすいのです。
状況の可視性
他人の行動を観察するときは、その人の行動だけでなく、その人の性格や能力、周囲の状況なども知ることができます。そのため、内的な要因である性格や能力に原因があると考える傾向があります。一方で、自分の行動を振り返るときは、自分の内的な要因を直接知ることができません。そのため、外的要因である状況や環境に原因があると考える傾向があります。
行為者観察者バイアスは、日常生活やビジネスシーンでさまざまな影響を与えます。例えば、
- 他人を批判しやすくなる
- 自分の失敗を認めにくくなる
- 他人の成功を妬みやすくなる
などの影響が考えられます。
行為者観察者バイアスを意識することで、他人の行動をより客観的に理解したり、自分の行動をより改善したりすることができます。