心理学における調節とは、既存の認知や行為の枠組み(図式、シェマ)による処理可能な範囲に対象の特性を適応させる働きと、これが困難なとき逆にシェマを対象の特性に適応できるよう変容させる働きです。
ピアジェの認知発達理論では、調節は認知発達の重要なメカニズムとされています。例えば、乳児は最初、犬と猫を区別することができません。しかし、犬と猫の違いに触れる機会が増えるにつれて、犬と猫のシェマを形成していきます。そして、犬と猫の特徴を区別できるように、調節を行います。
調節は、認知発達だけでなく、私たちの日常生活においても重要な役割を果たしています。例えば、新しい情報を学ぶとき、私たちは既存の知識や経験をベースに、新しい情報を理解しようとします。これが同化です。しかし、新しい情報が既存の知識や経験と大きく異なる場合、私たちは既存の知識や経験を修正し、新しい情報を理解できるように調節を行います。
調節は、私たちの認知と行動を変化させる、柔軟で能動的なプロセスです。