気分状態依存効果とは、ある気分の時には以前同じ気分のもとで学習した内容が思い出しやすくなるという現象です。
例えば、悲しくなった時に聴いた曲が悲しい気分の時に思い出されたり、幸せな時に見た景色が幸せな気分の時に思い出されたりという現象がこれに当たる。
この効果は、1968年にアメリカの心理学者であるエドワード・タッチトンによって初めて報告されました。タッチトンは、被験者に無意味な単語リストを覚えさせた後、気分状態を操作して、リストの再現テストを行いました。その結果、学習時と再生時の気分が一致したリストの再現が良く、気分が異なるリストの再生が悪いという結果が得られました。
気分状態依存効果は、記憶の処理過程において、気分が重要な役割を果たしていることを示唆しています。気分は、記憶の検索や想起を促進する、または抑制する働きがあると考えられています。
気分状態依存効果は、日常生活においても様々な場面で観察することができます。例えば、恋人と別れた後、悲しい気分の時に別れた時のことを思い出しやすくなったり、うれしい出来事があった後、その出来事を思い出して笑顔になったりといったことが起こります。
また、気分状態依存効果は、臨床心理学においても応用されています。例えば、うつ病の治療において、患者の気分を高めるような活動を促すことで、うつ病の症状を改善する効果があることが知られています。
参考URL:
気分状態依存効果を日常生活に応用してみる