ジャムの実験とは、1995年にコロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授によって行われた実験です。この実験では、スーパーマーケットのジャム売り場に、24種類のジャムと6種類のジャムを陳列し、消費者の行動を観察しました。
その結果、24種類のジャムが陳列された売り場では、試食をした人の割合は6種類のジャムが陳列された売り場よりも高かったものの、実際に購入した人の割合は6種類のジャムが陳列された売り場よりも低いという結果になりました。
この結果から、アイエンガー教授は、選択肢が多すぎると、消費者は「どのジャムが自分に合っているか」という判断に時間と労力を割くことになり、結果として購入を先延ばしにしたり、購入を諦めたりする可能性があるという「選択回避の法則」を提唱しました。
この法則は、マーケティングにおいても重要な知見として活用されています。たとえば、商品やサービスの種類を増やすことで、消費者の興味を引きつけることができると考えがちですが、選択肢が多すぎると、逆に購買率が下がる可能性があるという点に注意が必要です。
また、ジャムの実験の結果は、消費者の意思決定プロセスにも示唆を与えています。消費者は、選択肢が多いと、どの選択肢が最適であるか、判断に迷うことがあります。その結果、選択を先延ばししたり、選択自体を避けたりする傾向があります。
この傾向は、消費者の購買行動だけでなく、仕事や日常生活における意思決定にも当てはまります。たとえば、仕事でプロジェクトの担当者を選ぶ際に、多くの候補者から選ぶと、判断に時間がかかり、最適な選択をするのが難しくなる可能性があります。
このように、ジャムの実験の結果は、消費者の行動や意思決定プロセスを理解する上で重要な知見といえます。