オレステスコンプレックスとは、ギリシア神話の悲劇「オレステイア」の主人公・オレステスの心理をモデルとした精神分析学の概念です。
オレステスは、母親・クレオパトラが父親・アガメムノンを殺害したことを知り、父親の復讐のために母親を殺害します。この行為は、ギリシア神話において正義とされていますが、同時にオレステス自身も罪悪感に苦しみます。
オレステスコンプレックスは、このようなオレステスの矛盾した心理状態を、以下のように説明しています。
- 父親に対する愛着と、父親の掟に対する服従
- 母親に対する愛着と、母親の呪縛に対する恐怖
オレステスコンプレックスは、フロイトの提唱したエレクトラコンプレックスと対比される概念です。エレクトラコンプレックスは、父親に対する愛着と、母親の掟に対する服従という矛盾した心理状態を、父親殺害を志向する少女の心理として説明しています。
オレステスコンプレックスは、主に男性の青年期にみられる心理状態であるとされています。この時期は、父親から自立し、男性としての自我を確立する時期です。オレステスコンプレックスは、この時期にみられる父親と母親に対する葛藤を反映していると考えられています。
オレステスコンプレックスは、精神分析学の概念として提唱されましたが、現代の社会心理学においても用いられることがあります。例えば、同性愛者の心理を理解する際に、オレステスコンプレックスが用いられることがあります。
同性愛者の中には、父親に対する愛着と、母親の呪縛に対する恐怖から、母親を拒絶し、父親に近づこうとする傾向が見られます。この傾向は、オレステスコンプレックスの説明に基づいて理解することができます。
オレステスコンプレックスは、人間の複雑な心理状態を理解する上で、重要な概念であると考えられています。
参考URL:
オレステスコンプレックス - Wikipedia