ヒポクラテスの四体液説

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ヒポクラテスの四体液説とは、人間の体内には血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁の4つの体液があり、これらの体液のバランスが健康を左右するという説です。

この説は、ヒポクラテスが紀元前5世紀に唱えたもので、後にガレノスによって体系化されました。ヒポクラテスによれば、これらの体液はそれぞれに性質があり、血液は熱と湿性を、粘液は冷と湿性を、黄胆汁は熱と乾性を、黒胆汁は冷と乾性を有しています。

健康な状態とは、これらの体液がバランスよく存在している状態であり、体液のバランスが崩れると病気を発症するというのです。例えば、血液が過剰になると熱を帯びた病気、粘液が過剰になると冷え性の病気、黄胆汁が過剰になると怒りや興奮を伴う病気、黒胆汁が過剰になると憂鬱や悲しみを伴う病気にかかりやすくなると考えられていました。

ヒポクラテスの四体液説は、当時の医学の常識となり、15世紀まで西洋医学の主流を占めることになります。しかし、その後、科学の発展により、病気の原因が体液のバランスの崩れではなく、細菌などの微生物による感染であるということが明らかになり、四体液説は次第に廃れていきました。

とはいえ、四体液説は、現代医学にも少なからず影響を与えています。例えば、血液型と性格の関係は、四体液説に基づいた考え方です。また、食事療法や薬物療法による病気の治療法も、四体液説に基づいたものと言えるでしょう。

https://www.lib.kyushu-u.ac.jp/hp_db_f/igaku/exhibitions/2007/exhib1.htm