四体液説

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四体液説とは、人間の身体には血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁の4種類の体液があり、その調和によって身体と精神の健康が保たれ、バランスが崩れると病気になるとする考え方です。

この説は、古代ギリシャの医師ヒポクラテスによって提唱され、その後、ガレノスによって体系化されました。ガレノスによると、4つの体液はそれぞれ、火、空気、水、土の四大元素に対応し、以下の性質を持っています。

血液:熱く、湿潤である
粘液:冷たく、湿潤である
黄胆汁:熱く、乾燥である
黒胆汁:冷たく、乾燥である
4つの体液のバランスが崩れると、以下のような症状が現れると考えられていました。

血液の不足:多血質(社交的で、陽気で、好色)
粘液の不足:粘液質(穏やかで、慎重で、怠惰)
黄胆汁の不足:憂鬱質(悲観的で、消極的で、怒りっぽい)
黒胆汁の不足:恐怖症(内気で、臆病で、不安)
四体液説は、西洋医学の基礎的な考え方として、19世紀まで広く信じられていました。しかし、近代医学の進歩によって、病気は体液のバランスの崩れによって生じるのではなく、細菌やウイルスなどの病原体によって引き起こされるという考え方が主流となり、四体液説は廃れていきました。

それでも、四体液説は、西洋文化や芸術に大きな影響を与えた考え方です。例えば、シェイクスピアの作品には、四体液説に基づいた人物像がしばしば登場します。

https://www.waseda.jp/inst/weekly/news/2023/03/07/105906/