部分手がかり効果とは、記憶の再生において、部分的な手がかりを与えることで、全体の記憶が促進されるという効果です。
例えば、15個の単語リストを覚えてもらい、その後、思い出してもらう際に、5個の単語に関連するカテゴリー(例えば「電車」という単語に対して「乗り物」)を提示すると、手がかりを与えられたグループは、手がかりを与えられなかったグループと比べて、より多くの単語を思い出すことができるという結果が得られます。
この効果は、記憶の手がかりとして、単語の意味、音、音節、綴り、形状、位置、カテゴリーなど、さまざまな情報が利用されると考えられています。
部分手がかり効果は、日常生活においても、以下のような場面で生じています。
- 買い物リストを忘れたとき、買い物に行く前に「調味料のところにあるよ」と言われると、ローリエを思い出しやすい。
- 宿題を忘れたとき、教師から「宿題は、ノートの○ページに書いてあるよ」と言われると、宿題を思い出しやすい。
部分手がかり効果は、記憶の効率化や、記憶障害の治療などへの応用が期待されています。
部分手がかり効果の説明として、主に以下の2つの仮説が提唱されています。
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記憶痕跡変化説
この仮説によると、部分手がかりを与えることで、記憶痕跡が変化し、思い出しやすくなると考えられています。 -
検索抑制説
この仮説によると、部分手がかりを与えることで、手がかり以外の項目の検索が抑制され、手がかりに関連する項目の検索が促進されると考えられています。
どちらの仮説が正しいかは、完全には解明されていませんが、両方の仮説が部分手がかり効果の説明に寄与していると考えられています。
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部分手がかり効果