知能因子説とは、知能は単一の能力ではなく、複数の能力の組み合わせで構成されているとする考え方です。
知能因子説の代表的な理論には、以下のようなものがあります。
スピアマンの二因子説
スピアマンは、さまざまな知能検査の結果を因子分析した結果、知能は一般因子(g因子)と特殊因子(s因子)の2つの因子から構成されていると考えました。g因子は、すべての知的活動に共通して働く能力で、s因子は、特定の知的活動に固有の能力です。
サーストンの多因子説
サーストンは、スピアマンの二因子説をさらに発展させ、知能は8〜10の独立した因子から構成されていると考えました。サーストンの因子は、言語能力、空間能力、数的能力、記憶能力、推理能力、注意力、実行能力、知覚能力などです。
ギルフォードの知能構造モデル
ギルフォードは、知能は情報処理機能であるという観点から、知能を「内容」「操作」「所産」という3次元のモデルで捉えました。内容とは、処理する情報の種類や型のことで、4種類の因子から成ります。操作とは、情報処理の心的操作のことで、5種類の因子から成ります。所産とは、情報処理の結果のことで、6種類の因子から成ります。
知能因子説は、知能の理解を深め、知能検査の開発に貢献してきました。しかし、知能因子の数や種類については、研究者によって意見が異なります。また、知能因子は遺伝的要因と環境要因の両方によって影響を受けると考えられていますが、その割合についてはまだ明らかになっていません。
知能因子説は、知能の理解を深める上で重要な理論ですが、知能の全体像を捉えるには、まだまだ研究が必要な領域です。