客我(Me)とは:社会的に形成される自己
心理学における「客我(Me)」は、アメリカの社会心理学者ジョージ・H・ミードが提唱した自我の概念の一つです。日本語では「社会的自我」や「客観的自我」とも呼ばれます。
主我(I)との対比
ミードは自我を「主我(I)」と「客我(Me)」の二つの側面で捉えました。
- 主我(I):主体的な自己、今まさに考えたり感じたりしている自分。
- 客我(Me):社会的な期待や規範を取り入れた自己、他者から見られる自分や、自分が社会の成員として果たすべき役割としての自分。
客我の形成
客我は、主に以下の過程で形成されます。
- 重要な他者との相互作用:幼少期における親や養育者などの「重要な他者」との関わりの中で、他者の反応や期待を内面化します。
- 役割の獲得:社会生活の中で、様々な役割(学生、職業人、家族の一員など)を担うことで、それぞれの役割に求められる態度や行動を学びます。
- 象徴的相互作用:言語やジェスチャーなどの象徴を用いて、自分自身や他者について思考し、コミュニケーションをとります。
客我の重要性
客我は、私たちが社会の一員として適切に機能するために重要な役割を果たします。
- 社会化の促進:客我を通して、社会の規範や価値観を学び、集団生活に適応します。
- 自己認識の形成:他者からの視点を取り入れることで、自分自身をより客観的に理解することができます。
補足
客我と主我は、固定的なものではなく、常に相互作用しながら変化しています。また、客我は個人の置かれた状況や文化によっても大きく異なります。