ウェイソン選択課題とは、1966年に心理学者のピーター・カスカート・ウェイソンによって考案された、演繹的推論を測定する課題です。
この課題では、被験者に、表裏に数字と色が書かれたカード4枚の表が示されます。被験者は、これらのカードのうち、ルールに違反しているかどうかを確認するために、裏返すべきカードを2枚選ぶよう指示されます。
ルールは、次のとおりです。
上記のルールに従っているカードは存在する。
正解は、数字が7であるカードと、色が赤であるカードです。
この課題は、被験者の約70%が正解できないという結果が出ています。これは、人間が演繹的推論を苦手とする傾向があることを示しています。
ウェイソン選択課題の正解率が低い理由は、以下の2つが考えられます。
確証バイアス
確証バイアスとは、自分の仮説を裏付ける情報を探し、反証する情報を無視する傾向のことです。ウェイソン選択課題では、多くの被験者が、ルールに違反しているカードとして、数字が7であるカードと、色が赤ではないカードを選びます。これは、ルールに違反しているカードは、数字が7であるカードか、色が赤ではないカードであるという、確証バイアスによるものです。
マッチングバイアス
マッチングバイアスとは、現時点で知っている情報と一致する情報を探し、一致しない情報を無視する傾向のことです。ウェイソン選択課題では、多くの被験者が、表に数字が7であるカードと、色が赤であるカードを選びます。これは、表に数字が7であるカードと、色が赤であるカードは、すでに知っている情報であるという、マッチングバイアスによるものです。
ウェイソン選択課題は、人間の演繹的推論の限界を示す課題として、認知心理学において重要な役割を果たしています。