ミルグラム実験とは、権威者の命令に従う人間の心理を調べるために行われた実験で、権威者の命令に従って被験者がどの程度まで生徒役に電気ショックを与えるのかを測定するというもの

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ミルグラム実験とは、権威者の命令に従う人間の心理を調べるために行われた実験で、権威者の命令に従って被験者がどの程度まで生徒役に電気ショックを与えるのかを測定するというもの。

1961年から1963年にかけて、アメリカの社会心理学者スタンレー・ミルグラムによって行われました。

ミルグラム実験の内容

ミルグラム実験は、ニューヨークとニューヨーク近郊の大学や職場から募集した白人男性の被験者80名を対象に行われました。被験者は、実験と称して「体罰と学習効果の測定」に参加させられました。

実験では、被験者は「教師役」となり、隣室にいる「生徒役」に質問をします。生徒役の回答が間違っていた場合、被験者は実験者の指示に従い、電気ショックを与えるよう指示されます。電気ショックの強さは、15ボルトから300ボルトまで15段階に設定されており、最も強い電気ショックを与えると「XXX」と表示され、致命傷となることが示されていました。

実験の結果、被験者の90%が、最高電圧の300ボルトを与える指示に従いました。また、被験者は、電気ショックを与えることに徐々に抵抗感を示すものの、実験者の指示に従い続ける傾向が見られました。

参考URL:
ミルグラムの電気ショック実験 | 日本心理学会

ミルグラム実験の教訓

ミルグラム実験から得られる教訓は、以下の3つです。

人間は権威者の命令に従う傾向が強い

ミルグラム実験では、教師役は生徒役に電気ショックを与えるという非倫理的な行為を行うことを求められていました。しかし、教師役は権威者である実験者の命令に従い、生徒役に電気ショックを与え続けました。このことから、人間は権威者の命令に従う傾向が強く、非倫理的な行為であっても、権威者の命令があれば従ってしまう可能性があることが示されています。

状況によって人は変わる

ミルグラム実験では、教師役は実験室という特殊な状況下で実験に参加していました。この状況下では、教師役は実験者という権威者の存在に圧倒され、本来の自分とは異なる行動を取ってしまったと考えられます。つまり、人は状況によって変わる可能性があり、本来の自分の価値観や信念を押し切って、非倫理的な行為に走ってしまう可能性があるということです。

人は誰でも加害者になる可能性がある

ミルグラム実験の結果は、誰もが加害者になる可能性があることを示しています。教師役は、普通の市民であり、非倫理的な行為を意図して実験に参加したわけではありません。しかし、権威者の命令に従うという状況下で、非倫理的な行為に手を染めてしまいました。このことから、人は誰でも加害者になる可能性があるということを認識しておくことが重要です。

参考URL:
権威者の指示なら、「9割」の人々が電気ショックのボタンを押し続ける:現代版「ミルグラムの実験」で明らかに | WIRED.jp

ミルグラム実験のきっかけになったアイヒマンとは?

ミルグラム実験のきっかけになったアイヒマンとは、ナチスドイツのユダヤ人虐殺の責任者であるアドルフ・アイヒマンです。アイヒマンは、1934年にナチス党に入党し、1941年にはユダヤ人移送計画の責任者として、東欧地域数百万人のユダヤ人を絶滅収容所へ送り込む役割を担いました。

1961年、アイヒマンはイスラエルで裁判にかけられ、死刑判決を受けました。裁判において、アイヒマンは「命令に従っただけだ」と主張しました。この主張は、当時大きな議論を呼びました。

社会心理学者のスタンレー・ミルグラムは、アイヒマンの主張を検証するために、1961年から1964年にかけて、権威者の指示に従って他者に危害を加える人々の割合を調べる実験を行いました。この実験は、後に「ミルグラム実験」と呼ばれるようになりました。

参考URL:
指示されると責任を感じない | Nature ダイジェスト | Nature Portfolio

ミルグラム実験の同義語、類義語、関連語、反対語

  • ミルグラム効果
  • ミルグラムの服従実験
  • アイヒマン実験
  • アイヒマン効果
  • アイヒマンテスト
  • エージェント状態