ミルグラム実験とは
概要
ミルグラム実験は、1961年にアメリカの社会心理学者スタンレー・ミルグラムによって行われた実験です。「学習と記憶」という架空の研究に参加すると偽って集められた被験者が、別の部屋にいる学習者に電気ショックを与えるという指示に従う様子を観察しました。
実験の内容
実験は、以下の手順で行われました。
- 被験者は、学習と記憶に関する研究に参加すると偽って大学に呼び出されます。
- 被験者は、学習者役の俳優と教員役の実験者と紹介されます。
- 被験者は、教員役の指示に従って、学習者役に電気ショックを与える装置を操作するように指示されます。
- 実際には、学習者役には電気ショックは与えられませんでしたが、被験者はそうだと信じていました。
- 被験者は、電気ショックの強度を徐々に上げていくように指示されます。
- 被験者は、学習者役から苦痛や助けを求める声かけを受けますが、実験を継続するように指示されます。
- 被験者が実験を拒否しようとすると、教員役は、実験を継続するよう説得したり、命令したりします。
実験結果
実験の結果、被験者の約65%が、最大450ボルト(実際には偽物)の電気ショックを与えるまで指示に従いました。これは、被験者が、たとえ非倫理的な行為であっても、権威者の指示に従ってしまうことを示しています。
ミルグラム実験の意義
ミルグラム実験は、人間の服従性について重要な知見を与えてくれました。この実験は、人間は、自分が正しいと思っていることよりも、権威者の指示に従うことを優先する傾向があることを示唆しています。
ミルグラム実験の倫理的問題
ミルグラム実験は、被験者に意図的に欺瞞を行ったり、強いストレスを与えたりしたため、倫理的な問題が指摘されています。しかし、この実験は、人間の行動を理解する上で重要な知見を与えてくれたため、心理学史上最も重要な実験の一つとされています。
ミルグラム実験について、その他に知っておきたいこと
- ミルグラム実験は、第二次世界大戦中のナチスのホロコーストをきっかけに行われました。ミルグラムは、なぜ多くの人々がホロコーストに関与したのかを理解するために、この実験を行いました。
- ミルグラム実験は、様々な国で再現されており、その結果、被験者の服従率は文化によって異なることが示されています。
- ミルグラム実験は、今日でも、人間の行動を理解するための重要な理論的枠組みとして用いられています。