肛門期とは、ジークムント・フロイトが主張する5つの心理性的発達理論(独: Triebtheorie、英: Psychosexual development、リビドー発達段階)のうちの2番目の段階であり、口唇期に次いで表れる。
この時期は、生後18か月から4歳頃までとされ、子供は排便を意識し、コントロールの方法を教えられ、適切なときと場所でトイレに行くという「トイレットトレーニング(排泄訓練)」が可能になる。
フロイトは、この時期に子供は肛門の排泄や抑制を自らの意思でコントロールすることから、自分の意思と他者からの要求との調和を学び、自律心や自己主張の芽生えを経験すると考える。
肛門期でうまく排泄のコントロールが身につかない、あるいは親から厳しい排泄訓練を受けることで、子供は排泄に対する恐怖や罪悪感を抱き、排泄を抑制したり、排泄物を所有したりするなどの「肛門性格」を形成する可能性があるとされる。
肛門性格の特徴としては、以下が挙げられる。
秩序や規則を重んじ、完璧主義。
吝嗇、節約家。
潔癖、清潔感を重視。
頑固、意固地。
強迫観念や強迫性障害。
ただし、肛門性格はフロイトの理論であり、すべての子供が肛門期で肛門性格を形成するわけではない。また、肛門性格が必ずしも悪い性格であるとは限らず、社会生活に適応するために必要な性質である場合もある。