変化盲とは、視覚刺激の一部が変化したにもかかわらず、その変化に気づかない現象です。
変化盲の現象は、1990年代にイェール大学の心理学者であるアンドリュー・ホッジとアンドリュー・オレガンによって発見されました。彼らは、同じシーンの画像を短時間隔えて表示し、被験者に2つの画像の違いを見つけさせるという実験を行いました。その結果、多くの被験者が画像の変化に気づかないことが明らかになりました。
変化盲の現象は、さまざまな要因によって引き起こされます。1つは、視覚情報の処理が速すぎるためです。視覚情報は、目から脳に送られてから、わずか100ミリ秒程度で処理されます。このため、変化した部分が短時間しか表示されていると、脳がその変化を処理しきれずに、変化に気づかないことがあります。
もう1つの要因は、視覚情報の記憶が曖昧になるためです。視覚情報は、脳の海馬に記憶されます。しかし、海馬は短期的な記憶を保持する部分であり、情報が保存されるのは数秒程度です。このため、変化した部分が短時間しか見られないと、脳がその変化を記憶できずに、変化に気づかないことがあります。
変化盲の現象は、日常生活でも起こり得ます。例えば、会話中に相手の服装が変化したことに気づかない、動画を見ているときに画面に表示されている文字が変化したことに気づかない、などです。
変化盲の現象は、認知心理学において重要な研究対象となっています。変化盲の現象を理解することで、私たちの視覚情報の処理や記憶のメカニズムをより深く理解することができます。
なお、変化盲の現象は、視覚情報に限らず、聴覚情報や触覚情報でも起こり得ます。