カンデルの神経強化実験とは、アメリカの神経科学者、エリック・カンデルが1971年から1973年にかけて行った、アメリカミシシッピ州のアメフラシを用いた実験です。この実験によって、カンデルは長期記憶の形成にCREB(cAMP応答性転写因子)というタンパク質が関与していることを発見しました。
カンデルの実験は、アメフラシの触角に電気ショックを与えることで、触角に接続するニューロンの活動を強めることから始まります。そして、電気ショックを与える前後で、触角に接続するニューロンの活動を電気生理学的に測定します。
実験の結果、電気ショックを与える前後で、触角に接続するニューロンの活動に変化があることがわかりました。具体的には、電気ショックを与えた直後は、触角に接続するニューロンの活動が弱まりますが、時間が経つにつれて、活動が強まることがわかりました。
カンデルは、この変化を長期記憶の形成と考えました。そして、長期記憶の形成にCREBが関与していることを明らかにしました。
カンデルの神経強化実験は、脳科学の分野において画期的な発見でした。この実験によって、長期記憶の分子メカニズムが初めて解明されました。また、この実験は、神経科学の研究において、実験動物としてアメフラシが広く用いられるようになったきっかけとなりました。
カンデルの神経強化実験は、現在でも脳科学の研究において重要な基礎となっています。また、この実験は、脳科学の研究成果が、アルツハイマー病などの記憶障害の治療につながる可能性も示唆しています。
参考URL:
エリック・カンデル - Wikipedia