ラタネとダーリーの実験とは、1968年にアメリカの心理学者であるラタネとダーリーによって行われた実験です。この実験では、ニューヨーク大学の学生を被験者とし、ある緊急事態が発生したときに、傍観者が援助行動を起こすかどうかを調べました。
実験では、被験者は2人、3人、6人のグループに分けられ、それぞれ個室に通されて、マイクとインターフォンを使って順番に発言、討論をするという説明を受けました。その間に、一人の被験者が「苦しんでいる」という演技をします。
その結果、2人組のグループでは、100%の被験者が援助行動を起こしたのに対し、6人組のグループでは、62%の被験者が援助行動を起こさなかったことがわかりました。
この結果から、傍観者が多いほど、援助行動が起こりにくくなることが示されました。この現象は「傍観者効果」と呼ばれています。
傍観者効果が生じる原因としては、以下の3つが考えられます。
- 責任の分散:傍観者が多いと、誰かが助けるだろうという心理が働き、個人の責任が分散されます。
- 聴衆抑制:傍観者が多いと、自分の行動が他の人に見られているという意識が働き、行動を抑制する心理が働きます。
- 多元的無知:傍観者が多いと、他の人が助けていないことから、事態が緊急ではないと誤解する心理が働きます。
傍観者効果は、社会心理学において重要な概念の一つです。この効果を理解することで、緊急事態において援助行動を促進するための方法を検討することができます。
なお、ラタネとダーリーの実験は、その後も様々な条件で行われ、傍観者効果が普遍的に存在することが示されています。また、この効果は、年齢や性別、文化によっても影響を受けることが明らかになっています。
参考URL:
傍観者効果 - Wikipedia