外部動機づけバイアスとは、自分の行動や動機は純粋なものである一方で、他の人の行動や動機は不純であると思いがち、という傾向のこと

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外部動機づけバイアスとは、自分の行動や動機は純粋なものである一方で、他の人の行動や動機は不純であると思いがち、という傾向のことです。

具体的には、以下のようになります。

  • 自分が勉強を頑張るのは、学問が好きだから、将来のためになりたいから、などという内発的な動機であると思いがち。
  • 一方で、他の人が勉強を頑張るのは、成績を上げたいから、親や先生に褒められたいから、などという外発的な動機であると思いがち。
  • 自分が仕事を頑張るのは、仕事が好きだから、社会に貢献したいから、などという内発的な動機であると思いがち。
  • 一方で、他の人が仕事を頑張るのは、給料をもらうため、出世したいため、などという外発的な動機であると思いがち。

このバイアスは、以下の2つの理由により生じると考えられています。

  • 自己視点と他者視点の違い
  • 自分の行動を正当化したい心理

自己視点と他者視点の違いとは、自分自身を客観的に評価することが難しいという心理学的な現象です。人は自分の行動や動機を、自分にとって都合の良いように解釈する傾向があります。そのため、自分の行動は内発的な動機によって動機づけられていると考えやすく、他人の行動は外発的な動機によって動機づけられていると考えやすくなります。

自分の行動を正当化したい心理とは、自分の行動を良いものとして評価したいという心理です。人は、自分の行動が外発的な動機によって動機づけられていることを認めると、自分の行動が軽視されるのではないかと不安に感じることがあります。そのため、自分の行動は内発的な動機によって動機づけられていると考えることで、自分の行動を正当化しようとします。

外部動機づけバイアスは、日常生活やビジネスの現場で、さまざまな影響を与える可能性があります。

例えば、教育の現場では、生徒の学習意欲を高めるために、成績や進級などの外発的な動機づけを用いることがあります。しかし、外部動機づけバイアスにより、生徒は自分の学習意欲が外発的な動機によって高められていると認識し、学習に対する内発的な動機が低下してしまう可能性があります。

また、ビジネスの現場では、従業員のモチベーションを高めるために、給与や賞与などの外発的なインセンティブを利用することがあります。しかし、外部動機づけバイアスにより、従業員は自分のモチベーションが外発的なインセンティブによって高められていると認識し、仕事に対する内発的な動機が低下してしまう可能性があります。

外部動機づけバイアスを避けるためには、以下のような方法が考えられます。

  • 自分と他人の行動や動機を客観的に評価する
  • 自分の行動を正当化したい心理を自覚する
  • 内発的な動機を高める教育やマネジメントを行う

外部動機づけバイアスは、人間の普遍的な心理傾向です。しかし、その影響に気づき、適切な対処を行うことで、より効果的な教育やマネジメントを行うことができるでしょう。

参考URL:
人の動機の推測はよく間違う 「外部動機づけバイアス」|エビデンスマン@武器になるエビデンス