生得論とは、特定のスキルや能力、学習や行動の傾向などが、生まれながらにして脳の中に備わっているとする考え方

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生得論とは、特定のスキルや能力、学習や行動の傾向などが、生まれながらにして脳の中に備わっているとする考え方です。

これは、経験主義と対立する考え方です。経験主義は、生まれたばかりの脳は白紙の状態(タブラ・ラーサ)であり、全ての知識や能力は経験によって後から獲得されると主張します。

生得論は、以下のような例で説明されます。

  • 言語能力: 人間は、特別な訓練を受けなくても、母国語を習得することができます。これは、脳内に言語能力が生まれつき備わっているからだと考えられます。
  • 道徳観: 人間は、善悪の判断を下すことができます。これは、脳内に道徳観が生まれつき備わっているからだと考えられます。
  • 恐怖心: 人間は、蛇や蜘蛛などの危険な動物を恐れる傾向があります。これは、脳内に危険を察知する能力が生まれつき備わっているからだと考えられます。

生得論は、心理学、生物学、哲学など、様々な分野で議論されています。

生得論の代表的な例

  • チョムスキーの普遍文法: アメリカの言語学者ノーム・チョムスキーは、人間は生まれつき普遍文法と呼ばれる言語の構造を理解する能力を持っていると主張しました。
  • ローレンツの刷り込み: オーストリアの動物行動学者コンラート・ローレンツは、生まれたばかりの動物が、最初に見る動く物体に強い愛着を形成する刷り込みと呼ばれる現象を発見しました。

生得論の批判

生得論に対しては、以下のような批判があります。

  • 証拠の不足: 生得論は、脳内の構造や機能を直接観察する技術が未発達なため、決定的な証拠がありません。
  • 環境の影響: 生得論は、環境の影響を軽視しているという批判があります。

生得論と経験主義の統合

近年では、生得論と経験主義を統合するような考え方もあります。

例えば、遺伝的エピジェネティクスと呼ばれる研究分野では、遺伝子だけでなく、環境の影響によって遺伝子発現が変化し、それが脳の機能に影響を与えることが示されています。

このように、生得論と経験主義は、人間の心や行動を理解するために重要な考え方です。

参考URL:
生得論 – Wikipedia