アルバート坊やの実験とは
概要
アルバート坊やの実験は、1920年にアメリカの心理学者ジョン・ブロードゥス・ワトソンによって行われた、古典的な行動主義心理学の実験です。この実験は、恐怖条件付けという現象を明らかにしようとしたもので、倫理的に問題があるとして現在では批判されています。
実験内容
実験対象は、生後11ヶ月の乳児であるアルバート君です。
- 普段、アルバート君はネズミを怖がりません。
- ワトソンは、ネズミを見せた後に大きな音を立ててアルバート君を驚かせます。
- これを何度も繰り返すうちに、アルバート君はネズミを見るだけで恐怖を感じるようになります。
- さらに、ネズミだけでなく、ウサギや毛皮のコートなど、ネズミに似たものも怖がるようになります。
結果
この実験から、人間は恐怖のような感情も後天的に学習できることが示されました。
批判
しかし、この実験は、乳児に強い恐怖を与え、トラウマを与えたとして、倫理的に問題があるとして批判されています。また、実験の結果を一般化できるかどうかについても疑問が持たれています。
その後
アルバート君の実験後の消息については、分かっていません。一部の情報では、成人後に精神的な問題を抱えていたとされています。
意義
アルバート坊やの実験は、倫理的に問題があったとはいえ、学習理論の発展に大きく貢献しました。また、この実験がきっかけとなり、実験倫理に関する議論が活発化しました。
補足
- アルバート坊やの実験は、古典的な行動主義心理学の実験としてよく取り上げられます。
- 行動主義心理学は、人間の行動はすべて後天的に学習されるものであると考える学派です。
- 現代の心理学では、行動主義心理学に加えて、認知心理学や生物学などの要素も考慮した、より包括的な人間の心理解が目指されています。