スタンフォード監獄実験とは、一般人を看守役と囚人役に分け、刑務所に似せた施設で生活させ、その役割に合わせて行動してしまうことを証明しようとした実験

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スタンフォード監獄実験とは、一般人を看守役と囚人役に分け、刑務所に似せた施設で生活させ、その役割に合わせて行動してしまうことを証明しようとした実験です。

1971年に心理学者フィリップ・ジンバルドーの指導の下、アメリカのスタンフォード大学で行われました。

スタンフォード監獄実験の概要

スタンフォード監獄実験の概要をまとめると、以下のようになります。

  • 1971年8月14日から20日まで、アメリカ・スタンフォード大学心理学部で行われた。
  • 新聞広告などで集めた心身ともに健康な21人の被験者を、看守役11人と囚人役10人に分け、刑務所に似せた施設で生活させた。
  • 看守役には囚人役を厳しく管理するよう指示し、囚人役には看守役の命令に従うよう指示した。
  • 実験開始からわずか2日後には、看守役が囚人役に暴力を振るうなどの問題が発生し始め、6日目には、囚人役の一人が精神的苦痛を訴えて実験から脱退。7日目には、実験責任者であるフィリップ・ジンバルドー博士も実験の危険性を認識し、実験を中止した。

参考URL:
スタンフォード監獄実験 - Wikipedia

スタンフォード監獄実験の結果

実験の結果について、説明します。

看守役の行動

看守役は、囚人役を厳しく管理し、時に暴力を振るうようになりました。具体的には、以下の行動が観察されました。

  • 囚人役に過酷な労働を強制する。
  • 囚人役のプライバシーを侵害する。
  • 囚人役を侮辱や威嚇する。
  • 囚人役に暴力を振るう。

看守役は、囚人役を「犯罪者」と見なすようになり、彼らを懲らしめることが自分の役割だと信じるようになりました。そのため、囚人役に対して厳しく接するようになり、時に暴力を振るうことも厭わなかったようです。

囚人役の行動

囚人役は、看守役の命令に従い、服従するようになりました。具体的には、以下の行動が観察されました。

  • 看守役の命令に逆らわない。
  • 看守役の命令に従って、自分の尊厳を傷つけるような行為を行う。
  • 抑うつや不安などの精神的苦痛を訴える。

囚人役は、看守役に対して恐怖や不安を感じるようになり、彼らの命令に従うことが自分の身を守る唯一の方法だと信じるようになりました。そのため、看守役の命令に従い、時には自分の尊厳を傷つけるような行為も行うようになったようです。

参考URL:
スタンフォード監獄実験とは?実験内容・結果・その後をわかりやすく解説 | やさびと心理学

スタンフォード監獄実験から得られた教訓

この実験から得られた教訓は、以下の2つです。

  • 人は権威者に対して服従する傾向がある。
  • 役割によって人間の行動は大きく変わる。

権威への服従

この実験は、ミルグラム実験と同様に、人は権威者に対して服従する傾向があることを示唆しています。看守役の被験者は、実験の監督者であるフィリップ・ジンバルドー教授から権威を与えられており、その権威に応えるために、過激な行為に走ってしまったと考えられます。

役割の重要性

この実験は、役割によって人間の行動は大きく変わることを示唆しています。受刑者役の被験者は、監獄という役割に応じて、抑圧された状態に陥ってしまいました。また、看守役の被験者は、看守という役割に応じて、残虐な行為を行うようになりました。

これらの教訓は、私たちの日常生活にも当てはまります。例えば、職場や学校では、私たちはそれぞれ役割を担っています。その役割に応じて、私たちの行動は大きく変わる可能性があります。

また、この実験は、権威主義的な社会や組織において、どのような問題が生じる可能性があるかを示すものとして、重要な意味を持っています。

参考URL:
「スタンフォード監獄実験」というヤバすぎる心理学実験とは?

スタンフォード監獄実験に対する批判

スタンフォード監獄実験には、以下のような批判もされています。

実験の妥当性

この実験は、被験者がごく普通の大学生であったことから、実験結果を一般社会に当てはめることができるのか、という批判があります。また、実験の環境があまりにも不自然であったため、被験者の行動が実験の状況に影響されたのではないか、という批判もあります。

実験者の影響

実験者のジンバルドーは、看守たちに厳しい態度をとるよう指示していました。そのため、看守たちのサディスティックな行動は、実験者の意図的な影響によるものではないか、という批判があります。

需要バイアス

被験者は、実験の目的を知らされていました。そのため、被験者が実験者を満足させようと、望ましい行動をとったのではないか、という批判があります。

これらの批判は、スタンフォード監獄実験の結果をそのまま受け入れることはできないことを示しています。

参考URL:
スタンフォード監獄実験にもちあがった“ねつ造疑惑” 「人間はたやすく邪悪な存在に変わる」説は本当か? | 文春オンライン

スタンフォード監獄実験の同義語、類義語、関連語、反対語

  • 権力への服従
  • 非個人化
  • ルシファー効果
  • ミルグラム実験
  • アイヒマン実験