エルスバーグのパラドックス

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エルスバーグのパラドックスは、1961年にダニエル・エルスバーグによって提示された、不確実性下の意思決定において期待効用理論が正しく働かないことを示すパラドックスです。

エルスバーグは、以下の2つの選択肢を提示しました。

選択肢A:袋の中には、白球と黒球が同じ割合で入っている。袋から1個取り出すと、白球が出る確率は1/2である。
選択肢B:袋の中には、白球と黒球の割合が不明である。袋から1個取り出すと、白球が出る確率は1/2である。
この2つの選択肢は、白球が出る確率が同じであるため、期待効用理論によれば、人々は選択肢Aと選択肢Bを同じ確率で選択するはずです。しかし、実際の研究では、多くの人々が選択肢Aよりも選択肢Bを選択する傾向があることが示されています。

この結果は、人々が不確実性に対してリスク回避的であることを示しています。つまり、人々は、確率が不明な状況を、確率が明確な状況よりも不利であると判断する傾向があるということです。

エルスバーグのパラドックスは、行動経済学において重要な概念であり、金融市場や保険市場などの意思決定に影響を与えると考えられています。

エルスバーグのパラドックスの説明には、以下の2つの考え方があります。

確率の表現による影響:選択肢Aでは、白球が出る確率が「1/2」と明確に表現されています。一方、選択肢Bでは、白球が出る確率が「1/2」と表現されていますが、その根拠が示されていません。この違いが、人々の選択に影響を与えると考えられています。
リスク回避性:人々は、不確実性に対してリスク回避的であるため、選択肢Bの方が、選択肢Aよりもリスクが高いと判断すると考えられています。
エルスバーグのパラドックスは、多くの研究者によって検証されており、確率の表現による影響とリスク回避性の両方が、このパラドックスに影響を与えていることが示されています。

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