道徳性発達理論とは、人間の道徳性の発達過程を段階的に説明する理論です。
代表的な道徳性発達理論としては、ピアジェの道徳性発達段階説とコールバーグの道徳性発達段階説があります。
ピアジェの道徳性発達段階説
ピアジェは、子どもの道徳性は、他律的道徳から自律的道徳へと発達すると提唱しました。
他律的道徳(前習慣的水準):罰や報酬によって、道徳的行動を判断する段階
自律的道徳(習慣的水準):社会的規範やルールを守ることが重要であると判断する段階
コールバーグの道徳性発達段階説
コールバーグは、ピアジェの理論を基礎に、より広い年齢層にわたる発達過程を検討し、3水準6段階の発達段階説を提唱しました。
前慣習的水準
段階1:罰と服従志向(幼児期):罰を避けるために、ルールを守る
段階2:利己的交換志向(学齢期前):自分の利益を優先し、他者の利益を考慮しない
慣習的水準
段階3:良い子志向(学齢期):他者に好かれるために、ルールを守る
段階4:法と秩序の維持志向(思春期):社会の秩序を維持するために、ルールを守る
脱慣習的水準
段階5:社会契約的利害調整志向(成人期):社会の規範やルールを守ることは、社会の秩序を維持するために重要であると判断する
段階6:普遍的道徳原理志向(成人期):普遍的な道徳原理に基づいて、行動を判断する
これらの理論は、道徳性の発達を年齢に応じた段階的な変化として捉えています。しかし、近年では、道徳性の発達は年齢だけでなく、個人の経験や価値観によっても影響を受けるという考え方が広まっています。
また、道徳性の発達は、必ずしも段階的に進むとは限りません。ある段階にとどまったり、逆行したりすることもあると考えられています。
道徳性発達理論は、道徳教育や子育てに役立つ理論です。子どもの道徳性の発達を理解し、適切な教育や関わりをすることで、子どもの道徳性の発達を促すことができます。