タブララサ(tabula rasa)は、ラテン語で「磨かれた板」を意味します。哲学や心理学においては、生まれたばかりの人間の心が、何も書かれていない白紙の状態であるという考え方を指します。
この考え方は、経験主義の立場をとる哲学者によって主張されました。経験主義とは、知識は経験によってのみ獲得されるという考え方です。経験主義の立場をとる哲学者は、人間の心は生まれたときは何も知らない白紙の状態であり、外界からの経験によって知識が獲得されると考えました。
タブララサの考え方は、17世紀のイギリスの哲学者、ジョン・ロックによって提唱されました。ロックは、『人間悟性論』(1689)において、デカルトの生得観念の存在を否定し、人間の心は生まれたときは何も知らない白紙の状態であり、外的な感覚と内的な反省という経験によって、あらゆる観念が獲得されると主張しました。
タブララサの考え方は、近代哲学において大きな影響を与えました。ヒュームやカントなどの哲学者も、経験主義の立場をとる際に、タブララサの考え方に影響を受けています。
タブララサの考え方は、現代においても、教育や教育心理学において重要な概念として用いられています。タブララサの考え方に基づくと、子どもたちは生まれたときは何も知らない白紙の状態であり、教育によって知識や能力を獲得していくと考えることができます。そのため、教育においては、子どもたちの経験や関心を重視し、子どもたちの自発的な学習を促すことが重要であると考えられます。
また、タブララサの考え方は、人間の社会性や文化性を考える際にも重要な概念として用いられています。タブララサの考え方に基づくと、人間の社会性や文化性は、生まれたときから備わっているものではなく、経験によって獲得されるものと考えることができます。そのため、人間の社会性や文化性を理解するためには、人間の経験や文化を分析することが重要であると考えられます。
参考URL:
タブララサとは? 意味や使い方 - コトバンク