ローゼンハン実験とは
概要
ローゼンハン実験は、1973年にアメリカの心理学者デヴィッド・ローゼンハン氏によって行われた、精神科病院における診断の妥当性を検証する実験です。
実験方法
- ローゼンハン氏を含む8人の健常者が、偽の症状を訴えて、当時アメリカ各地にあった精神病院に入院を試みました。
- 入院後、偽患者たちは異常な行動を見せることなく、むしろ模範的な患者として振る舞いました。
- 驚くべきことに、全ての偽患者たちは、精神病患者として診断され、平均19日間の入院を余儀なくされました。
- 退院後、偽患者たちは全員、正常であると診断されました。
結果と考察
この実験結果は、以下の点を明らかにしました。
- 精神科病院の職員は、偽患者たちの異常な行動を見抜くことができませんでした。
- 精神科病院の環境は、患者を病状悪化させる可能性があります。
- 精神科診断は、主観的な要素に大きく左右される可能性があります。
批判と影響
ローゼンハン実験は、精神医学の診断基準や治療法の在り方について、大きな論争を巻き起こしました。
- 実験方法の倫理性や妥当性について、批判的な意見も存在します。
- 精神科病院の職員の偏見や思い込みが、誤診を招いた可能性も指摘されています。
しかし、この実験は、精神科医療の抱える問題点を浮き彫りにし、その後の改革に大きな影響を与えました。