カクテルパーティー効果とは、騒がしい場所であっても、自分の名前や興味のある話題は自然と耳に入ってくるという心理効果です。
カクテルパーティー効果の由来は、その名の通り、カクテルパーティーのような騒がしい場所であっても、自分の名前や興味関心がある話題は自然と耳に入ってくるという現象から来ています。
カクテルパーティー効果の実験
コリン・チェリーの実験(1953年)
チェリーは、被験者にヘッドホンを付けさせ、片方の耳に単語を、もう片方の耳に数字を聞かせました。被験者には、片方の耳で聞こえた単語だけを記憶するように指示しました。すると、被験者は、片方の耳で聞こえた単語を正確に記憶できました。しかし、もう片方の耳で聞こえた数字は、ほとんど覚えられませんでした。
この実験から、人間の脳は、聞こえた音をすべて情報として認識しようとすると、情報の量が膨大となり、脳が処理しきれなくなってしまうことがわかりました。そこで、人間の脳は、耳から入ってきた情報のうち、自分にとって必要な情報であるかを瞬時に判断して選び分けているのです。
クリス・クラインケの実験(1979年)
クラインケは、男女の被験者に15分間会話をしてもらいました。1つのグループは、会話中に相手の名前を何度か意識的に呼ぶように指示されました。もう1つのグループは、自由に会話をするように指示されました。
実験の結果、相手の名前を意識的に呼んだグループの方が、相手に対して親しみやすさや好感を抱いたという結果が出ました。
この実験から、カクテルパーティー効果によって、相手の名前が聞こえると、相手に意識を向けやすくなり、親しみやすさや好感を抱きやすくなることがわかりました。
カクテルパーティー効果の具体例
カクテルパーティー効果の具体的な例としては、以下が挙げられます。
- 学校の休み時間にクラスメートが騒いでいた時でも、自分の名前が聞こえた瞬間、「自分のことを話しているのか?」と気になって、その会話の内容が入ってくるのは、カクテルパーティー効果によるものです。
- 繁華街を歩いている時、自分の好きなバンドの曲が店から流れてきたら、その店に吸い寄せられてしまうようなことはありませんか?これは、自分の興味関心がある情報を無意識に選択しているためです。
- テレビ番組を見ている時、自分の好きなタレントの名前が聞こえた瞬間、そのタレントの出演シーンに視線が向いてしまうことがあります。これは、自分の関心のある情報に注意が向きやすいためです。
カクテルパーティー効果が働く原因
カクテルパーティー効果が働く原因は、主に以下の3つです。
選択的注意
選択的注意とは、無意識のうちに必要な情報や重要な情報に注意を向け、不要な情報や重要度の低い情報には注意を向けないようにする脳の働きです。カクテルパーティー効果では、騒音の中で自分の興味のある会話に注意を向け、他の会話には注意を向けないようにすることで、必要な情報を聞き取ることができます。
声の特徴による情報処理
声の特徴とは、音の高さ、音量、音色などです。カクテルパーティー効果では、自分の興味のある人やグループの声の特徴を無意識のうちに記憶し、その特徴に合った声を聞き取るようにします。例えば、好きな人の声は、他の人の声よりも耳に残りやすいため、騒音の中でも聞き取りやすくなります。
予測処理
予測処理とは、これから聞こえてくるかもしれない情報を予測する脳の働きです。カクテルパーティー効果では、自分の興味のある会話の内容を予測することで、その会話の音声に注意を向けやすくなります。例えば、自分の名前が呼ばれるかもしれないという予測があれば、その音声にはより注意を向けやすくなります。
カクテルパーティー効果の活用法
カクテルパーティー効果は、マーケティングや広告、営業など、さまざまな場面で活用することができます。
マーケティングや広告における活用法
カクテルパーティー効果をマーケティングや広告に活用する方法は、以下のとおりです。
ターゲットに関連するキーワードを使う
ターゲットに関連するキーワードを広告やマーケティングメッセージに盛り込むことで、ターゲットの注意を引きつけることができます。例えば、ダイエットをしている女性をターゲットとする場合は、「ダイエット」「痩せる」「体重」などのキーワードを活用すると効果的です。
ターゲットの興味を引くデザインを使う
ターゲットの興味を引くデザインを使うことで、より多くの人の注意を引くことができます。例えば、色や動きを効果的に使ったデザインや、ユーモアを取り入れたデザインなどが挙げられます。
ターゲットの行動を促すCTAを使う
ターゲットの行動を促すCTA(Call to Action)を使うことで、より多くの人が行動を起こす可能性が高まります。例えば、「今すぐ購入する」「資料請求する」などのCTAを活用すると効果的です。
営業における活用法
カクテルパーティー効果を営業に活用する方法は、以下のとおりです。
顧客の興味や関心を把握する
顧客の興味や関心を把握することで、それに関連する情報を提供することができます。例えば、顧客が「節約」に興味を持っている場合は、節約につながる商品やサービスを提案すると効果的です。
顧客の視点に立って話す
顧客の視点に立って話すことで、顧客の共感を得やすくなります。例えば、顧客の悩みや課題を理解した上で、その解決策を提案すると効果的です。
顧客の反応をよく観察する
顧客の反応をよく観察することで、顧客が興味を持っていることや関心を持っていることがわかります。その情報をもとに、より効果的な営業活動を行うことができます。
カクテルパーティー効果の同義語、類義語、関連語、反対語
- 選択的注意
- 音声の選択的聴取
- カラーバス効果