ワード・ホブランド効果とは、意味を持たない内容の記憶(無意味綴り)について起こるレミニセンス効果のことを指します。
具体的には、無意味な綴りを最初に見た直後に比べて、10分後に再び見た時に、記憶が向上するという効果です。
この効果は、以下の2つの要因によって引き起こされると考えられています。
- 記憶の整理:記銘した直後は、記憶がまだ整理されていない状態です。一定時間が経つことで、記憶が整理され、想起しやすくなります。
- 関連付け:記銘した記憶と、新しい情報や経験が関連付けられることで、記憶が強化され、想起しやすくなります。
ワード・ホブランド効果は、学習や記憶の向上に役立つ効果です。例えば、試験勉強をする際に、無意味な綴りを覚える必要がある場合、10分ごとに復習を行うことで、記憶の定着につながります。また、睡眠は、記憶の整理と関連付けに重要な役割を果たすため、睡眠を十分にとることも、ワード・ホブランド効果を高めるために効果的です。
ただし、ワード・ホブランド効果は、記憶の歪みを生む可能性があることにも注意が必要です。例えば、試験勉強の際に、間違った情報を覚えていた場合、10分ごとに復習を行うことで、間違った記憶が強化される可能性があります。また、睡眠中に、記憶の歪みが生じる可能性もあります。
ワード・ホブランド効果は、以下の実験によって発見されました。
1957年、心理学者のジョン・ワードとデイヴィッド・ホブランドは、被験者に無意味な綴りを覚えさせた後、10分間休ませ、その後もう一度覚えさせたところ、記憶が向上していることを発見しました。この結果から、ワードとホブランドは、意味を持たない内容の記憶についても、レミニセンス効果が起こることを提唱しました。
ワード・ホブランド効果は、その後の研究によって、多くの研究者が確認しています。また、この効果は、認知心理学における重要な研究成果の一つとして、広く知られています。