フレーミングとは、情報や事象を特定の視点や観点で解釈・提示することを指します。同じ事象でも、その提示の仕方(フレーミング)によって受け手の理解や感じ方が大きく変わることがあります。
目次
フレーミングの具体例
フレーミングの具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
「コップ半分の水」
よく知られている例え話ですが、コップ半分の水を「もう半分しかない」と捉えるか、「まだ半分もある」と捉えるかで、感じ方は大きく異なります。
「健康診断の結果」
健康診断の結果で、何かしらの異常が見つかった場合、その異常を「病気」と捉えるのか、「健康状態を維持するための指標」と捉えるかで、行動や気持ちが変わってきます。
「ダイエット」
ダイエットをする際に、目標体重を「現在の体重から〇kg減らす」と捉えるのか、「理想の体重になる」と捉えるかで、モチベーションの維持に影響します。
「仕事」
仕事で何かしらの失敗をしてしまった場合、その失敗を「挫折」と捉えるのか、「学びの機会」と捉えるかで、今後の行動に影響します。
「人生」
人生を「限られた時間の中でいかに充実させるか」と捉えるのか、「常に変化する可能性に満ちている」と捉えるかで、生き方が変わってきます。
参考URL:
【フレーミング効果】活用例とポイントを解説! | Indeed (インディード)
フレーミングの特徴
フレーミングの特徴は、以下のとおりです。
情報の印象や解釈が変化する
フレーミングによって、同じ情報でも違った印象や解釈がされることがあります。例えば、同じ製品の価格を「500円引き」と表現するか「200円増し」と表現するかによって、消費者の購入意欲が変化する可能性があります。
意思決定に影響を与える
フレーミングは、意思決定にも影響を及ぼします。例えば、同じリスクを「生存確率90%」と表現するか「死亡確率10%」と表現するかによって、人々はリスクをとるかどうかの判断を変化させる可能性があります。
無意識に作用する
フレーミングは、無意識のうちに作用することがあります。そのため、フレーミングによって意思決定が変化しても、本人は気づかないことがあります。
参考URL:
フレーミング|グロービス経営大学院 創造と変革のMBA
フレーミングに関する実験
フレーミング効果を実験で検証した研究は数多くありますが、その中でも有名な実験が、1979年にカーネギーメロン大学のティモシー・シャーデンフェルドが行った「アジア病問題」です。
この実験では、被験者を2つのグループに分け、それぞれに以下のような情報を提示しました。
- グループA
米国では、アジア病と呼ばれる致命的な病気が蔓延しています。この病気は、発症率が20%で、死亡率が80%です。
- グループB
米国では、アジア病と呼ばれる致命的な病気が蔓延しています。この病気は、発症率が80%で、死亡率が20%です。
この情報は、同じ内容を逆のフレームで表現しただけです。しかし、被験者の実験結果は、フレーミングによって大きく異なりました。グループAでは、65%の人が、病気に感染した人のうち、80%が死亡するリスクを避けるために、予防接種を受けると答えました。一方、グループBでは、22%の人が、病気に感染した人のうち、20%が死亡するリスクを避けるために、予防接種を受けると答えました。
この実験は、フレーミング効果の存在を示す最も有名な例の一つです。フレーミング効果は、意思決定や行動に大きな影響を与える可能性があるため、マーケティングや政治など、さまざまな分野で活用されています。
参考URL:
心理学のフレーミング効果とは? 8つの例でわかりやすく解説 - STUDY HACKER(スタディーハッカー)|社会人の勉強法&英語学習
フレーミングの活用法
フレーミングの活用法は、大きく分けて2つあります。
1つは、自分自身の考え方や行動を変化させるための活用法です。フレーミングによって、自分の置かれている状況や課題を、よりポジティブな視点から捉え直すことができます。例えば、失敗を「学びの機会」と捉えるようにすることで、モチベーションを維持し、成長につなげることができます。
もう1つは、他者とのコミュニケーションを円滑にするための活用法です。フレーミングによって、相手が理解しやすい言葉や表現で伝えることができます。例えば、相手が納得しない提案をする際には、相手の立場に立って考え、メリットを強調したフレーミングで伝えることで、受け入れてもらいやすくなります。
フレーミングの活用例をいくつか挙げてみましょう。
ダイエット
「痩せる」という目標を「健康になる」というフレームで捉えると、食事や運動に対するモチベーションが高まります。
仕事
「忙しい」という状況を「やりがいのある仕事」というフレームで捉えると、仕事に対する意欲が高まります。
人間関係
「喧嘩した」という状況を「意見をぶつけ合った」というフレームで捉えると、お互いの理解を深めるきっかけになります。
フレーミングは、日常生活のあらゆる場面で活用できるスキルです。ぜひ、自分なりにフレーミングを活用して、より豊かな人生を送りましょう。
以下に、フレーミングを活用する際のポイントをまとめます。
相手の立場に立って考える
フレーミングは、相手が理解しやすい言葉や表現で伝えることが大切です。そのためには、相手の立場に立って考え、その人の価値観や視点に合わせたフレーミングをする必要があります。
単語や表現を工夫する
同じ内容でも、言葉や表現を変えることで、印象は大きく変わります。例えば、「失敗」を「挑戦の過程」と表現したり、「難しい」を「やりがいのある」と表現したりするなど、ポジティブな印象を与える言葉や表現を意識しましょう。
繰り返し練習する
フレーミングは、繰り返し練習することで身につくスキルです。日常生活の中で、意識的にフレーミングを活用する場面を作り、練習を積みましょう。
参考URL:
「リフレーミング」を活用し、出来事をプラスに変換して捉える方法 - Well-Being Workers
フレーミングの同義語、類義語、関連語、反対語
- フレーミング効果
- リフレーミング
- アンカリング効果
- プロスペクト理論