恒常性バイアス(normalcy bias)とは、日常生活の延長線上に置いて、予期せぬ事態を過小評価する傾向を指す認知バイアスです。
例えば、地震や台風などの自然災害が起こった場合、多くの人が「自分は大丈夫」「自分は被害にあわない」と思い込み、避難や備蓄などの対策を遅らせてしまうことがあります。また、金融危機や株価暴落などの経済危機が起こった場合も、多くの人が「自分は影響を受けない」「すぐに持ち直すだろう」と思い込み、対策を怠ってしまうことがあります。
恒常性バイアスは、以下の要因によって生じると考えられています。
- 人間の認知の限界:人間の認知は、複雑な情報を処理するのが苦手です。そのため、予期せぬ事態を理解し、適切な対応をとることが難しいのです。
- 希望的観測:人は、一般的に、悪いことが起こることを避けたいと思っています。そのため、予期せぬ事態が起こることを過小評価し、希望的観測を抱いてしまうことがあります。
恒常性バイアスは、さまざまな場面で影響を及ぼします。例えば、
- 災害対策においては、恒常性バイアスが働くことで、被害を拡大してしまうことがあります。
- 経済対策においては、恒常性バイアスが働くことで、経済の回復を遅らせてしまうことがあります。
- 日常生活においては、恒常性バイアスが働くことで、リスクを回避できず、損失を被ってしまうことがあります。
恒常性バイアスは、必ずしも悪いことばかりではありません。例えば、恒常性バイアスが働くことで、日常生活のストレスを軽減したり、前向きに物事を考えたりすることができることもあります。しかし、恒常性バイアスが働くと、リスクを過小評価し、適切な対応をとれなくなることにもなりかねません。
恒常性バイアスを軽減するためには、以下のことに気をつけましょう。
- 予期せぬ事態が起こる可能性を常に意識する
- 予期せぬ事態が起こったときの対策を検討しておく
- 多様な情報源から情報を収集し、客観的に事態を判断する
恒常性バイアスに気づき、意識的にコントロールすることで、より正確な判断を下し、より良い意思決定ができるようになります。