モデリング(観察学習)とは、他者の行動や結果を観察することで、その行動を学習する学習方法です。
モデリングの提唱者は、アルバート・バンデューラです。バンデューラは、アメリカ合衆国の心理学者であり、1960年代に社会的学習理論を提唱しました。社会的学習理論では、モデリングは、他者の行動やその結果をモデルとして観察することで成立する学習の理論です。
モデリングに関する実験
モデリングに関する実験は、1961年にアルバート・バンデューラによって行われた「ボボ人形実験」が最も有名です。この実験では、3~6歳の子どもたちを3つの群に分け、①賞を受けるモデルの行動を見る群、②罰を受けるモデルの行動を見る郡、③強化を受けない郡に分け、映像を見せました。映像はボボ人形に対して攻撃的にふるまう大人のモデルが現れるというものでした。
その結果、賞を受けるモデルの行動を見る群の子どもたちは、ボボ人形を攻撃する行動を最も多く見せました。一方、罰を受けるモデルの行動を見る郡の子どもたちは、ボボ人形を攻撃する行動を最も少なく見せました。また、強化を受けない郡の子どもたちは、ボボ人形を攻撃する行動の頻度が賞を受けるモデルの行動を見る群と罰を受けるモデルの行動を見る郡の中間的な値を示しました。
この実験は、モデリングにおいて、モデルの行動が観察者の行動に影響を与えることを示した重要な実験です。また、モデルの行動が強化されるか否かが、観察者の行動に影響を与えることも示しました。
参考URL:
モデリング(観察学習)とは?心理学における意味や具体例、効果をわかりやすく解説 – Psycho Psycho
モデリングの具体例
以下に、モデリングの具体的な例をいくつか挙げます。
子どもが親や教師の行動を模倣する
子どもは、親や教師の行動をよく観察しています。親が怒鳴ったり叩いたりする姿を見ると、子どもも同じように怒鳴ったり叩いたりするようになることがあります。また、親が優しく接したり、子どもの話をよく聞いてあげたりする姿を見ると、子どもも同じように優しく接したり、相手の話をよく聞いてあげたりするようになります。
スポーツ選手が先輩選手の動きや技術を学ぶ
スポーツ選手は、先輩選手の動きや技術をよく観察して、自分の動きや技術を向上させようとします。先輩選手のフォームや動きを真似したり、先輩選手の指導を受けたりして、自分の技術を磨いていきます。
職場で先輩社員の業務手順を覚える
新入社員は、先輩社員の業務手順をよく観察して、仕事を覚えていきます。先輩社員がどのように仕事をこなしているかを観察して、自分のやり方を身につけていきます。
テレビや映画で見た行動を真似する
子どもや若者は、テレビや映画で見た行動を真似することがあります。ヒーローやヒロインの格好を真似したり、テレビドラマや映画で見た言葉遣いや行動を真似したりすることがあります。
インターネットやSNSで見た情報を参考にする
インターネットやSNSで見た情報を参考にして、何かを学んだり、何かを始めたりします。料理のレシピやメイクのやり方、ダイエットの方法などをインターネットやSNSで調べて、実際にやってみるというようなことがよくあります。
参考URL:
観察学習(モデリング)とは?心理学の意味・特徴・具体例を簡単に解説 | やさびと心理学
モデリングの特徴
モデリングの特徴は、以下の4つです。
直接経験しなくても新しい行動を学べる
モデリングでは、他者の行動を観察するだけで、その行動を学ぶことができます。そのため、危険な行動や、直接体験することが難しい行動も学ぶことができます。
間接的に強化を受けることができる
モデルの行動が強化されると、観察者はその行動を模倣する可能性が高くなります。そのため、観察者は間接的に強化を受けることができます。
社会的な行動を学ぶことができる
モデリングは、社会的な行動を学ぶのに役立ちます。例えば、マナーやルール、社会的な役割などを学ぶことができます。
個人の特性によって学習効果が異なる
モデリングの効果は、個人の特性によって異なります。例えば、模倣する意欲が高い人や、モデルへの信頼感が高い人は、モデリングの効果が高い傾向にあります。
参考URL:
観察学習,模倣学習,モデリングは全て同じ意味だと思っていました‥‥。しかし違う… – Yahoo!知恵袋
モデリングの過程
モデリングが成立するには、以下の4つの過程が必要であるとされています。
注意過程
観察者は、モデルの行動や結果に注意を向けなければなりません。モデルの行動が観察者の関心を引くものであるほど、注意過程は促進されます。また、観察者の年齢や認知能力、情動状態なども、注意過程に影響を与えます。
保持過程
観察者は、注意した行動や結果を記憶しなければなりません。記憶のしやすさは、モデルの行動が明確で簡潔なものであるほど高くなります。また、観察者がモデルを好意的に評価している場合、記憶しやすくなります。
運動再生過程
観察者は、記憶した行動を実際に再生しなければなりません。運動再生過程は、観察者の身体的能力や運動経験によって影響を受けます。また、観察者がモデルを模倣したいと思っているほど、運動再生しやすくなります。
動機づけ過程
観察者は、学習した行動を遂行する動機づけが必要です。動機づけは、モデルの行動が観察者にとって価値のあるものであるほど高くなります。また、観察者がモデルから強化を受けていると感じるほど、動機づけしやすくなります。
参考URL:
社会的学習 :心理学用語集
モデリングのメリットとデメリット
モデリングのメリットは、以下のとおりです。
効率的に学習できる
モデリングは、一から自分で学習するよりも効率的に学習できるというメリットがあります。例えば、スポーツの技術を学ぶ場合、一から自分で試行錯誤しながら学習するよりも、上手な選手の動きや技術を観察することで、短期間で上達することができます。
幅広い知識やスキルを身につけることができる
モデリングは、自分では体験できないような知識やスキルを身につけることができるというメリットもあります。例えば、海外の文化や習慣を学ぶ場合、実際に海外に行って体験するよりも、海外の映画やテレビ番組を観察することで、より多くの知識やスキルを身につけることができます。
モデリングのデメリットは、以下のとおりです。
誤った行動や言動を学習してしまう可能性がある
モデリングでは、他者の行動や言動をそのまま真似てしまうため、誤った行動や言動を学習してしまう可能性があります。例えば、暴力的な映画やテレビ番組を観察することで、暴力的な行動を学習してしまう可能性があります。
他者の行動や言動を理解する力が必要
モデリングでは、他者の行動や言動を理解する力が必要となります。例えば、外国語を学ぶ場合、単語や文法だけでなく、その言語の文化や習慣を理解することで、より効果的に学習することができます。
参考URL:
ゲームや漫画による観察学習(モデリング)で学級が荒れることがある。 | 繊細教師のブログ
モデリングの活用法
モデリングの活用法は、大きく分けて以下の3つです。
スキルや知識の習得
モデリングは、新しいスキルや知識を習得する際に有効な方法です。例えば、スポーツや楽器、ビジネススキルなどを学ぶ際に、上手な人の動きややり方を観察することで、効率的に学習することができます。
態度や価値観の形成
モデリングは、態度や価値観を形成する際にも有効な方法です。例えば、親や先生、憧れている人などの態度や価値観を観察することで、自分自身の態度や価値観を形成することができます。
動機付けの向上
モデリングは、動機付けを向上させる際にも有効な方法です。例えば、成功している人や目標を達成した人の姿を観察することで、自分自身も頑張ろうという気持ちが高まります。
モデリングを活用する際には、以下の点に注意すると効果的です。
信頼できるモデルを選ぶ
モデリングの効果を最大限に発揮するためには、信頼できるモデルを選ぶことが重要です。信頼できるモデルとは、自分にとって魅力的で、尊敬できる人です。
モデルの行動を注意深く観察する
モデリングの効果を高めるためには、モデルの行動を注意深く観察することが重要です。モデルの行動の細部まで観察することで、より効果的に学習することができます。
モデルの行動を真似る
モデリングの効果を最大限に発揮するためには、モデルの行動を真似ることが重要です。モデルの行動を真似ることで、より深く学習することができます。
参考URL:
勉強のやる気がない子ほど効果大!観察学習理論に基づいた勉強法
モデリングの同義語、類義語、関連語、反対語
- 観察学習
- モデリング理論
- 社会的学習理論
- ボボ人形実験