可謬主義とは、「知識についてのあらゆる主張は、原理的には誤りうる」という哲学上の学説です。知識が絶対に確実であることは不可能であるとまで論ずる可謬主義者たちもいる。
可謬主義の起源は古代ギリシアにまで遡りますが、近代の哲学においては、カール・ポパーがその代表的な論者として知られています。ポパーは、科学は、真理を探求するのではなく、誤りを排除する営みであると主張しました。そのため、科学者は、新たな仮説を立てて、その仮説が反証されないかどうかを検証するというプロセスを繰り返すことで、知識を徐々に精緻化していくことになるのです。
可謬主義は、科学哲学だけでなく、倫理学や政治哲学など、さまざまな分野に影響を与えています。たとえば、倫理学においては、可謬主義に基づいて、絶対的な道徳は存在せず、常に批判的に検討し、修正していく必要があるという考え方が広まっています。
可謬主義には、以下の主な特徴があります。
- 知識は絶対ではなく、原理的には誤りうる。
- 知識は、新たな証拠や反証によって常に修正されうる。
- 知識の獲得は、仮説と反証の繰り返しによって行われる。
可謬主義は、知識の限界を認めるという点で、楽天主義的な認識論と対立する立場です。しかし、可謬主義は、知識の獲得と発展の過程をより正確に捉えるものであり、科学や哲学の進歩に大きく貢献してきたといえるでしょう。
参考URL:
可謬主義 - Wikipedia