ギルフォードの知能構造論とは、1956年にアメリカの心理学者であるJ. P. ギルフォードによって提唱された知能の構造に関する理論です。この理論では、知能は単一の能力ではなく、複数の要素から構成される複合的な能力であるとしています。
ギルフォードは、知能の要素を「考える領域」「考える働き」「考える所産」の3つの側面から捉えました。
考える領域とは、知能が働く対象の領域のことで、以下の4種類に分類されます。
- 形象領域:イメージや図形などの視覚的な情報を処理する能力
- 言語領域:言葉や文字などの言語的な情報を処理する能力
- 概念領域:抽象的な概念や意味を処理する能力
- 行動領域:身体的な動きや行動を処理する能力
考える働きとは、知能が行う処理の働きのことで、以下の5種類に分類されます。
- 記憶:情報を保持する能力
- 理解:情報を理解する能力
- 応用:情報を活用する能力
- 分析:情報を分解する能力
- 創造:新しいものを生み出す能力
考える所産とは、知能の処理の結果のことで、以下の6種類に分類されます。
- 単位:情報を単純に識別する能力
- クラス:情報を分類する能力
- 関係:情報を関連付ける能力
- システム:情報を体系化する能力
- 変換:情報を別の形に変換する能力
- 生成:新しいものを生み出す能力
これらの3つの側面を組み合わせることで、120の知能因子が形成されます。例えば、「図形領域で単位を記憶する」という能力は、「考える領域」が「形象領域」、「考える働き」が「記憶」、「考える所産」が「単位」に該当します。
ギルフォードの知能構造論は、従来の知能論が単一の能力として知能を捉えていたのに対し、知能を多面的に捉えた点で画期的なものでした。この理論は、知能教育の分野で広く用いられており、知能を伸ばすための教育プログラムの開発に役立てられています。
ギルフォードの知能構造論の特徴は、以下の3点にまとめられます。
- 知能は単一の能力ではなく、複数の要素から構成される複合的な能力であると捉える。
- 知能の要素を「考える領域」「考える働き」「考える所産」の3つの側面から捉える。
- 知能の要素を組み合わせることで、120の知能因子が形成されると考える。
この理論は、従来の知能論が抱えていた問題点を解決し、知能に関する理解を深める上で重要な役割を果たしました。
参考URL:
ギルフォード博士の「知能因子構造理論」 | 修明学園