アンダーマイニング効果とは?
アンダーマイニング効果とは、本来、達成感や満足感を得るために自発的に行っていた活動に報酬が与えられた場合、「報酬を得ること」が目的になってしまう心理状態のことを指します。
わかりやすく例えると、
- 子供が勉強を楽しんで取り組んでいたのに、毎回良い点を取るとお小遣いをもらえるようになったら、勉強する目的がお小遣いをもらうことになってしまい、勉強自体を楽しむ気持ちが薄れてしまうような状態です。
アンダーマイニング効果は、過剰正当化効果とも呼ばれ、報酬によって内発的な動機が低下してしまうという逆説的な現象です。
アンダーマイニング効果が起こる原因
アンダーマイニング効果が起こる原因は、主に以下の2つが考えられます。
-
内発的動機と外発的動機の説明
- 内発的動機とは、「楽しい」「面白い」「達成したい」など、自分自身が活動すること自体に価値を見出す動機です。
- 外発的動機とは、「お金がもらえる」「褒められる」「昇進できる」など、活動することによって得られる外部的な報酬を目的とする動機です。
アンダーマイニング効果では、本来、内発的動機によって行っていた活動に外発的動機が加わることで、内発的動機が抑制されてしまうと考えられています。
-
自己決定理論による説明
自己決定理論によると、人は「自分は自分で選択している」という自己決定感を感じることで、モチベーションが高まると言われています。
しかし、アンダーマイニング効果では、報酬によって選択の自由が奪われたと感じてしまい、自己決定感が低下することで、モチベーションが低下してしまうと考えられています。
アンダーマイニング効果の影響
アンダーマイニング効果は、以下のような悪影響を及ぼす可能性があります。
- モチベーションの低下
- 創造性の低下
- 自主性の低下
- タスク遂行の質の低下
- 燃え尽き症候群
アンダーマイニング効果を防ぐ対策
アンダーマイニング効果を防ぐためには、以下の対策が有効です。
- 内発的動機付けを促進する
- 挑戦しがいのあるタスクを与える
- 自主的学習を支援する
- 達成感を味わえる機会を提供する
- 肯定的なフィードバックを与える
- 外発的動機付けを適切に活用する
- 目標達成のためのマイルストーンを設定し、段階的に報酬を与える
- 非金銭的な報酬を活用する (例:褒め言葉、感謝の気持ち)
- 報酬と内発的動機付けを結びつける (例:報酬を自己研鑽のための資金として提供する)
- 個々の状況に合わせて対応する
- すべての人に同じ対策が効果的なわけではないことに注意する
- 個々の内発的動機や外発的動機を理解した上で、最適な対策を検討する
まとめ
アンダーマイニング効果は、報酬によって内発的な動機が低下してしまうという逆説的な現象です。
モチベーションや創造性などを低下させる可能性があるため、適切な対策を講じることが重要です。