フリッツ・ハイダーは、オーストリア出身の心理学者であり、社会心理学の分野で重要な業績を残した人物です。彼の主な業績は、認知的均衡理論と帰属理論の提唱です。
認知的均衡理論は、人が持つ認知が互いに矛盾しないように、それらを調整しようとする傾向があることを説明する理論です。例えば、AさんがBさんのことを好きだと思っていて、BさんがAさんのことを好きだと思っていたら、AさんはBさんのことをさらに好きになる傾向があります。逆に、AさんがBさんのことを嫌いだと思っていて、BさんがAさんのことを好きだと思っていたら、AさんはBさんのことをさらに嫌いになる傾向があります。
帰属理論は、人が他者の行動の原因をどのように認知するかを説明する理論です。ハイダーは、他者の行動の原因を、内因的な要因(本人の性格や能力など)と外因的な要因(状況や環境など)の2つに分けました。例えば、AさんがBさんに親切にしてくれた場合、Aさんが親切な人であると内因的に評価するのか、それともBさんが助けを求めている状況だったから外因的に評価するのかは、人によって異なります。
ハイダーの業績は、社会心理学の分野に大きな影響を与え、現在でも多くの研究が行われています。
ハイダーは、1896年にオーストリア・ウィーンで生まれました。ウィーン大学で哲学を学び、その後、ゲシュタルト心理学の創始者であるマックス・ヴェルトハイマーの指導を受けて、心理学の研究を始めました。1933年にナチス政権が台頭したため、オーストリアを離れてアメリカに移住し、スタンフォード大学、コーネル大学、カンザス大学で教鞭をとりました。
1988年にカンザス州ローレンスで亡くなりました。