臨界期とは、生体の発達の比較的初期において、ある刺激（経験）が与えられたとき、その効果が最もよく現れる時期のことをいいます。ある時期を中心にして、その前後の一定範囲をいいますが、最も刺激に敏感で、効果の上がる時期を特に最適期とか敏感期と呼ぶことがあります。
現在は拡張されて、人間や動物の行動発生の過程において、潜在している機能が具現化、変容、抑制されるうえで、環境要因の作用、とくに特定刺激の提示に高い感受性を示す、限られた発生期間をいいます。
臨界期は、生体の発達において重要な役割を果たします。例えば、生まれたばかりの子猫の目を2週間ほど閉じたままにすると、視力を失ってしまいます。これは、視覚機能の形成に必要な神経回路が、臨界期に適切な刺激を受けないと、正常に形成されないためです。
人間の臨界期は、脳の発達や学習、記憶など、さまざまな領域でみられます。例えば、言語の習得は、臨界期に最も活発に行われ、臨界期を過ぎると、母国語以外の言語を習得するのが難しくなることが知られています。また、音楽や絵画などの芸術分野における才能も、臨界期に形成されると考えられています。
臨界期は、生体の発達において限られた期間ですが、その時期に適切な刺激を与えることで、生体の潜在的な能力を最大限に引き出すことができます。
なお、臨界期は必ずしも厳密な時期を示すわけではなく、個体差や環境によっても左右されます。
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