コンパッション・フェード

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コンパッション・フェードとは?

「コンパッション・フェード(Compassion Fade)」は、社会心理学や倫理学の概念で、人々の同情や思いやりの感情が一部の個人や大規模な被害の場合には弱まる現象を指します。具体的には、個人の同情心が一人の被害者に対して高まる場合にも関わらず、被害者の数が増えると同情や思いやりの感情が減衰する傾向があるということです。

コンパッション・フェードは、人々の感情や行動に影響を与える要因の一つとされています。いくつかの要因がこの現象を引き起こす可能性があります。

情報の抽象度: 被害や苦しみが具体的で明確に描写される場合、同情心が高まります。しかし、被害者の数が多くなると、抽象度が高まり、同情心が希薄化する傾向があります。具体的な個人の物語よりも統計や数字が提示される場合、同情心が減少する可能性があります。

利他的バイアス: 人々はしばしば身近な人や共感しやすいグループに対して強い同情心を抱きますが、それ以外の人や遠い地域の被害者に対しては同じ程度の同情心を示さない傾向があります。このようなバイアスがコンパッション・フェードを引き起こすことがあります。

同情疲労: 大規模な災害や人道的危機の場合、情報や映像が広範囲にわたって報道され、人々は長期間にわたって同様の情報にさらされることがあります。このような状況では、同情心や思いやりの感情が疲弊し、コンパッション・フェードが生じる可能性があります。

コンパッション・フェードの理解は、個人や組織が効果的な支援や救済策を提供するために重要です。意識的な努力や情報の配信方法の工夫により、コンパッション・フェードを軽減することができるかもしれません。また、個人的な思考や行動においても、コンパッション・フェードに気を付けることは重要です。以下は、コンパッション・フェードに対処するためのいくつかのアプローチです。

個人的な意識の向上: 自分がコンパッション・フェードに陥りやすい傾向があることを認識し、意識的に同情心を活性化させる努力をすることが重要です。被害者の物語や個別の状況に焦点を当てることで、同情心を喚起させることができます。

信頼できる情報源の活用: 大規模な災害や人道的危機の場合、情報はしばしば広範囲にわたって報道されます。信頼できる情報源や組織の提供する情報を活用し、具体的な被害の状況や個人の物語にアクセスすることが重要です。これにより、抽象度を下げ、同情心を保つことができます。

グループや組織の支援活動への参加: 単独で同情心を維持することが難しい場合、グループや組織の支援活動に参加することで、共感や思いやりの感情を強化することができます。他のメンバーとの交流や共有体験を通じて、同情心を活性化させることができます。

自己ケアの重要性: 同情心や思いやりの感情を持ち続けるためには、自己ケアが重要です。長期的な災害や危機に取り組む場合、自分自身の身体的、精神的、感情的な健康を維持することが必要です。十分な休息、適切なストレス管理、サポートシステムの活用などが役立ちます。

コンパッション・フェードは人間の心理的な特徴の一つであり、完全に避けることは難しいかもしれません。ただし、意識的な取り組みとバランスの取れたアプローチによって、同情心や思いやりを維持し、他人への支援や関与を持続させることが可能です。

https://note.com/suzuki_akira86/n/n3a36685bae0c