コリジョンコース現象とは、そのまま進み続ければ衝突するであろう一点に向かって等速直線運動をしている2つの車両や航空機同士が、視界が良好な場合であってもお互いを早期に視認することが著しく困難であるという現象をいう。
コリジョンコース現象の原因は、人間の視覚特性によるものと考えられている。人間の目は、視野の中心部でしか細かい動きを認識することができない。一方、コリジョンコース現象が発生するような状況では、相手の車両は常に斜め45度で進んでくる。そのため、視野の中心部には相手車両の姿がほとんど映らず、動きを認識することが困難になる。
コリジョンコース現象は、見通しの良い広い田園地帯など、長距離を走行していても背景がほとんど変化しない平地で道路が直角に交差する交差点で発生しやすいとされている。また、ドライバーが疲労や眠気などの状態にある場合も、コリジョンコース現象のリスクが高まる。
コリジョンコース現象による交通事故は、別名、十勝型事故、田園型事故とも呼ばれる。北海道十勝地方で、この現象による交通事故が多発したことから、こう呼ばれるようになった。
コリジョンコース現象を防ぐためには、以下の点に注意する必要がある。
- 交差点に近づくときは、必ず減速して周囲の安全を確認する。
- 対向車線から近づいてくる車両は、斜め45度で進んでくることを意識する。
- 疲労や眠気を感じたら、休憩をとる。
また、交差点の標識や信号を明確にすることで、ドライバーの注意を喚起することも有効である。