ゲシュタルトの祈りとは、ドイツの心理学者フレデリック・S・パールズ(1893~1970年)がローラ夫人と共に創設した「ゲシュタルト療法」で使われる「祈り」

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ゲシュタルトの祈りとは、ドイツの心理学者フレデリック・S・パールズ(1893~1970年)がローラ夫人と共に創設した「ゲシュタルト療法」で使われる「祈り」です。

原文はドイツ語ですが、日本語訳は以下のとおりです。

私は私のために生き、あなたはあなたのために生きる。
私はあなたの期待に応えて行動するためにこの世に在るのではない。
そしてあなたも、私の期待に応えて行動するためにこの世に在るのではない。

あなたが私に触れ、あなたを触れる。
あなたが私を見つめ、私を見つめる。
あなたが私に話し、私に話す。

私たちは、私たちが出会うかもしれない。
それは、美しいことだ。

もし私たちが出会わないなら、それは、仕方がないことだ。

この祈りは、ゲシュタルト療法の基本的な考え方を、簡潔にまとめたものです。

ゲシュタルト療法では、人は常に変化し、成長していると捉えます。そして、その変化を妨げるものは、過去の未完了な課題や、他人からの期待であると考えています。

この祈りは、そのような過去の未完了な課題や、他人からの期待から解放され、ありのままの自分として生きることの大切さを説いています。

具体的には、以下の3つのメッセージを含んでいます。

自分と他人の境界を尊重する

「私は私のために生き、あなたはあなたのために生きる」という一節は、自分と他人は独立した存在であり、お互いに干渉し合うべきではないことを示しています。

人は、誰かとの関係の中で、自分の存在を認めてもらいたいという欲求を持っています。しかし、その欲求が強すぎると、相手の期待に応えようとし、自分らしさを失ってしまうことがあります。

この祈りは、そのような状況に陥ったとき、自分と他人の境界を尊重し、自分らしさを大切にすることを促しています。

あるがままの自分を受け入れる

「私はあなたの期待に応えて行動するためにこの世に在るのではない。そしてあなたも、私の期待に応えて行動するためにこの世に在るのではない」という一節は、自分と他人は、相手に何かを期待したり、相手に何かを期待されたりするために生きているのではないことを示しています。

人は、誰かに認められたいという欲求を持っています。しかし、その欲求が強すぎると、自分の価値を他人に委ね、ありのままの自分を受け入れられなくなってしまうことがあります。

この祈りは、そのような状況に陥ったとき、自分を他人に委ねず、あるがままの自分を受け入れることを促しています。

今この瞬間を生きる

「あなたが私に触れ、あなたを触れる。あなたが私を見つめ、私を見つめる。あなたが私に話し、私に話す」という一節は、今この瞬間に集中し、過去や未来に囚われないことを示しています。

人は、過去の出来事に囚われ、後悔や怒りを抱いたり、未来に不安や恐れを抱いたりすることがあります。しかし、そのような状況に陥ると、今この瞬間を生きることができなくなり、人生を豊かにすることができなくなってしまいます。

この祈りは、そのような状況に陥ったとき、今この瞬間に集中し、過去や未来に囚われないことを促しています。

ゲシュタルトの祈りは、シンプルな言葉の中に、深い意味が込められています。この祈りを繰り返し唱えることで、ありのままの自分として生きる力を得ることができるでしょう。

参考URL:
「ゲシュタルトの祈り」 | お知らせ | 国際協力NGOジョイセフ(JOICFP)