コーシャスシフトとは、社会心理学において、集団での意思決定や討議において、その内容がより安全性の高い無難なものとなることを指す。
リスキーシフトと対をなす概念で、集団極性化現象の一種である。
具体的には、集団のメンバーがもともとリスク回避的である場合、集団での討議の結果、さらにリスクの低い保守的な結論が導かれることが知られている。
その原因としては、以下のようなものが挙げられる。
- 集団の意見が一致するほど、それに異議を唱えることが難しくなる。
- 集団の意見に賛同することで、集団の一員としてのアイデンティティを保ちやすくなる。
- 集団の意見に反する意見は、リスクの高いものとして捉えられやすくなる。
コーシャスシフトは、ビジネスや政治など、さまざまな場面で生じる可能性がある。
例えば、企業の経営会議において、新規事業の立ち上げを検討する際に、コーシャスシフトが生じると、リスクが高い新規事業の立ち上げを躊躇することになりかねない。
また、政治の意思決定においても、コーシャスシフトが生じると、現状維持に固執するような政策が採られることにつながりかねない。
コーシャスシフトを回避するためには、以下のような対策が考えられる。
- 集団のメンバーに、多様な意見や視点を取り入れてもらう。
- 集団の意見を形成する過程において、批判や異議を唱えることを奨励する。
- 集団の意見を形成する前に、メンバーが個人で十分な情報収集を行うように促す。
コーシャスシフトは、集団の意思決定において、重要な情報を排除してしまう可能性があるため、注意が必要である。