パヌム現象とは?
パヌム現象(Panum's phenomenon)は、視覚に関する現象の一つで、立体感や深さ知覚に関連しています。デンマークの生理学者Peter Ludvig Panumにちなんで名付けられました。
通常、私たちは両眼で見ることによって、立体感や深さを知覚することができます。パヌム現象は、左右の視野がわずかに異なる場合において、立体感の知覚が生じる範囲を示す現象です。
具体的には、視野の中央部にある物体を注視し、周囲の物体を適度な距離に配置すると、その注視している物体と周囲の物体との位置関係が立体的に知覚されます。この範囲をパヌム領域と呼びます。パヌム領域内では、立体感が生じるため、物体が奥行き方向に浮かび上がっているように感じられます。
一方、パヌム領域の外側では、立体感が失われ、平坦な画像として知覚されます。これは、両眼の視差(左右の視点の差)が大きくなるためです。パヌム現象によって、立体感を知覚する範囲と、平面的な知覚が起こる範囲が明確に分けられることになります。
パヌム現象は、視覚システムの立体感知メカニズムの一部を示す重要な現象です。この現象を理解することで、立体視や立体映像の再現など、視覚情報の処理や立体感の研究に役立てることができます。