代理母実験とは、アメリカの心理学者であるハリー・ハーロウが、1958年に行ったアカゲザルを使った実験です。
実験では、生後間もないアカゲザルを、針金製の代理母と布製の代理母の2つを用意したケージの中で育てました。針金製の代理母は哺乳瓶が付いており、布製の代理母は哺乳瓶が付いておらず、両方とも母親ザルのような大きさと形をしていました。
その結果、アカゲザルはお腹が空いたときは針金製の代理母のところに行ってミルクを飲みましたが、安心を求めるときは布製の代理母にしがみつく時間が長くなりました。また、布製の代理母に抱きつくと、アカゲザルは落ち着きを取り戻し、安心した表情を見せました。
この結果から、ハーロウは、愛着形成において、身体的接触による安心感や保護感が重要な役割を果たしていることを明らかにしました。
この実験は、人間の愛着形成にも応用されており、人間の赤ちゃんも、母親に抱っこされたり、スキンシップを受けたりすることで、安心感や安全感を得て、健全な愛着関係を築いていくことがわかっています。
代理母実験は、発達心理学における画期的な実験であり、人間の愛着形成の理解に大きく貢献しました。