ヒューリスティックとは、必ずしも正しい答えを導けるとは限らないが、ある程度のレベルで正解に近い解を得ることができる方法

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ヒューリスティックとは、必ずしも正しい答えを導けるとは限らないが、ある程度のレベルで正解に近い解を得ることができる方法です。発見的手法とも呼ばれ、答えの精度が保証されない代わりに、解答に至るまでの時間が短いという特徴があります。

ヒューリスティックの種類と具体例

ヒューリスティックには、主に以下の5種類があります。

代表性ヒューリスティック

代表性ヒューリスティックとは、ある事象が特定のグループに属する可能性が高いかどうかを判断する際に、その事象がそのグループの典型的な特徴をどれだけ備えているかを基準にするヒューリスティックです。

例えば、背が高くて鼻が長い人がイケメンだと判断する際、その人はイケメンの典型的な特徴を備えているため、イケメンである可能性が高いと判断します。

利用可能性ヒューリスティック

利用可能性ヒューリスティックとは、過去の経験や記憶から、ある事象が起こる確率を推定するヒューリスティックです。

例えば、あるレストランで食中毒になった人がいたと聞いた場合、そのレストランで食事をしたくないと思うかもしれません。これは、食中毒の経験が記憶に強く残っているため、そのレストランで食中毒になる確率が高いと判断してしまうからです。

固着性ヒューリスティック

固着性ヒューリスティックとは、一度形成された判断や推論を修正することが困難になるヒューリスティックです。

例えば、ある商品の価格を最初に聞いたときには高すぎると思ったとしても、その後、他の商品の価格を聞いたときには、最初の商品の価格が妥当に思えてしまうことがあります。これは、最初に聞いた価格が基準値として固着してしまうためです。

シミュレーションヒューリスティック

シミュレーションヒューリスティックとは、ある事象が起こった場合の状況を想像して、その事象が起こるかどうかを判断するヒューリスティックです。

例えば、新しい仕事を始めるかどうかを判断する際に、その仕事を始めた場合の自分の生活を想像して、その仕事を始めるかどうかを判断することがあります。

感情ヒューリスティック

感情ヒューリスティックとは、感情を判断の基準にするヒューリスティックです。

例えば、ある商品のデザインが気に入らなければ、その商品を購入したくなくなることがあります。これは、デザインに対する感情が商品の評価を左右してしまうためです。

参考URL:
私たちの意思決定に潜むヒューリスティック!その概要や注意点とは? - innova

ヒューリスティックが起きる原因

ヒューリスティックが起きる主な原因は、以下の2つです。

脳の省エネ

人間の脳は、限られた情報処理能力しかありません。そのため、複雑な問題を正確に判断しようとすると、多くの時間とエネルギーを必要とします。ヒューリスティックは、このような負担を軽減するために、脳が用いる方法です。

過去の経験に基づく判断

ヒューリスティックは、過去の経験に基づいて判断することが多いため、それらの経験が偏っている場合、バイアスが生じる可能性があります。例えば、ある商品を買った際に良い経験をした場合、その商品をまた買う可能性が高くなります。しかし、その商品が必ずしも良い商品であるとは限りません。

ヒューリスティックは、多くの場合、正しい判断を導くことができます。しかし、上記のような原因により、誤った判断を導く可能性もあります。そのため、ヒューリスティックを用いて判断する際には、その限界を理解しておくことが重要です。

参考URL:
ヒューリスティック分析とは?意味や評価手順を解説 | 識学総研

ヒューリスティックのメリットとデメリット

ヒューリスティックとは、複雑な問題を簡単に解決するために用いられる、経験や直感に基づく判断基準のことです。ヒューリスティックには、以下の2つのメリットがあります。

意思決定を迅速化できる

ヒューリスティックは、経験や直感に基づく判断基準であるため、複雑な問題でも素早く判断することができます。これは、人間が日常生活の中で行う膨大な数の意思決定を効率的に行うために重要なことです。

少ない情報で判断できる

ヒューリスティックは、必ずしもすべての情報を収集する必要がありません。経験や直感に基づいて判断基準を設定することで、少ない情報でも判断を行うことができます。これは、時間や労力をかけずに意思決定を行う必要がある場合に有効です。

一方で、ヒューリスティックには以下の2つのデメリットもあります。

判断ミスを誘発する

ヒューリスティックは、必ずしも正しい判断を導き出すものではありません。経験や直感に基づく判断基準であるため、バイアスや偏りの影響を受けやすいというデメリットがあります。

適用できる問題が限定される

ヒューリスティックは、すべての問題に適用できるわけではありません。適用できる問題は、経験や直感に基づいて判断基準を設定できる問題に限られます。

参考URL:
ヒューリスティック|グロービス経営大学院 創造と変革のMBA

ヒューリスティックのデメリットを回避する方法

ヒューリスティックのデメリットを回避するためには、以下の方法が有効です。

ステレオタイプを疑う

ヒューリスティックは、過去の経験や知識に基づいて判断を下すため、ステレオタイプに陥る可能性があります。例えば、「男性は理系、女性は文系」というステレオタイプに基づいて、女性の理系進学を阻害してしまうような判断を下してしまう可能性があります。ステレオタイプを疑うことで、偏った判断を避けることができます。

情報収集に手間をかける

ヒューリスティックは、手に入りやすい情報に基づいて判断を下すため、偏った情報や誤った情報に基づいた判断を下してしまう可能性があります。例えば、「インフルエンザは今年は流行していない」という情報に基づいて、予防接種を受けずに外出してしまうような判断を下してしまう可能性があります。情報収集に手間をかけることで、より正確な判断を下すことができます。

アンカリング効果を意識する

ヒューリスティックは、最初に提示された情報によって判断が左右される可能性があります。例えば、100万円の値段がついた車の隣に50万円の値段がついた車を置くと、100万円の車の価値を過大評価してしまう可能性があります。アンカリング効果を意識することで、偏った判断を避けることができます。

希望的観測を捨てる

ヒューリスティックは、希望的観測や過去の失敗に起因する不安によって判断が左右される可能性があります。例えば、「資格試験に合格できれば、昇進できる」という希望的観測に基づいて、資格試験の勉強を頑張ってしまうような判断を下してしまう可能性があります。希望的観測を捨てることで、より現実的な判断を下すことができます。

参考URL:
ヒューリスティックとは? 思い込みで失敗しない4つのコツ - STUDY HACKER(スタディーハッカー)|社会人の勉強法&英語学習

ヒューリスティックとバイアスの違い

ヒューリスティックとバイアスは、どちらも意思決定において重要な役割を果たす概念ですが、両者には明確な違いがあります。

ヒューリスティックとは、経験則に基づいて迅速な判断を下すための方法です。ヒューリスティックは、複雑な問題を正確に判断するためには時間がかかる、あるいは不可能である場合に、役立ちます。

バイアスとは、意思決定の過程で生じる判断の偏りです。バイアスは、ヒューリスティックによって引き起こされる場合もあれば、個人の経験や価値観によって引き起こされる場合もあります。

ヒューリスティックとバイアスの違いをまとめると、以下のようになります。

項目 ヒューリスティック バイアス
定義 経験則に基づいて迅速な判断を下すための方法 意思決定の過程で生じる判断の偏り
目的 複雑な問題を迅速に判断する 判断を歪める

ヒューリスティックは、適切に使用すれば、意思決定を効率化するための有効な手段となります。しかし、バイアスが生じると、判断の正確性が損なわれる可能性があります。ヒューリスティックを使う際には、バイアスが生じる可能性があることを認識し、それを防ぐための対策を講じることが重要です。

参考URL:
ヒューリスティックとバイアスの違いとは? | UX TIMES

ヒューリスティックの同義語、類義語、関連語、反対語

ヒューリスティックス

  • 発見的手法
  • 経験則
  • バイアス
  • ステレオタイプ