心理機能診断とは、人間の知覚、思考、感情、行動などの心理機能を評価するための検査です。心理機能は、人間の行動や経験に大きな影響を与えるため、心理機能診断は、精神疾患の診断や治療、教育や職業適性の判断など、さまざまな場面で活用されています。
心理機能診断には、さまざまな種類があります。
- 知覚機能診断:視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚などの知覚機能を評価する検査
- 思考機能診断:注意力、記憶力、判断力、推論力などの思考機能を評価する検査
- 感情機能診断:気分、感情、情緒などの感情機能を評価する検査
- 行動機能診断:意欲、動機、衝動性などの行動機能を評価する検査
心理機能診断は、主に次の2つの方法で行われます。
- 質問紙法:対象に質問を投げかけ、回答を収集する方法
- 記述法:対象の行動や言動を観察・記録する方法
質問紙法は、比較的簡便に実施できる反面、対象の回答が正確に反映されているか、注意が必要です。記述法は、対象の行動や言動を多面的に観察・記録できる反面、実施に時間と労力がかかります。
心理機能診断の結果は、あくまでもひとつの指標です。検査結果を客観的に評価し、その人の理解を深めるために、検査者による臨床的判断や、他の評価方法との組み合わせが重要です。
心理機能診断の代表的な例としては、次のようなものが挙げられます。
- ウェクスラー成人知能検査(WAIS-IV):知覚推理、言語理解、ワーキングメモリ、処理速度の4つの領域の知能機能を評価する検査
- ロールシャッハテスト:非構造化のタスクによって、対象の知覚や思考、感情、性格などを評価する検査
- ミネソタ多相人格検査(MMPI-2):10の基本性格特性と、10の臨床特性を評価する検査
心理機能診断は、人間の心理機能を理解するための重要なツールです。適切な方法で実施し、その結果を正しく解釈することで、さまざまな場面で活用することができます。