権威への服従原理とは、人が権威や肩書き、地位のある人間の命令に従いやすい傾向があることを指す社会心理学用語です。また、ミルグラム効果(Milgram effect)とも呼ばれます。
この原理は、1961年にスタンフォード大学の心理学者であるスタンレー・ミルグラムによって実験的に証明されました。ミルグラムの実験では、被験者は教師役として、別の被験者(実験協力者)である学習者役に電気ショックを与える実験に参加しました。教師役の被験者は、学習者役が間違った答えを出すと、電気ショックの強さを上げるように指示されます。電気ショックの強さは、15段階あり、最大では致命的なレベルになります。
実験の結果、教師役の被験者の約65%が、最大の電気ショックまで与えるという結果になりました。この結果は、教師役の被験者が、権威である実験者からの指示に従って、学習者役に危害を加えてしまうことを示しています。
権威への服従原理が働く要因としては、以下のようなものが考えられます。
- 権威への信頼感
- 権威からの指示への従順性
- 自己防衛本能
権威への服従原理は、日常生活のさまざまな場面で現れます。例えば、警察官の指示に従ったり、医師の診断に従ったりするのは、権威への服従原理が働いていると言えます。
また、権威への服従原理は、マーケティングや政治などでも活用されています。例えば、有名人や権威ある専門家を広告に起用したり、威圧的なデザインや雰囲気を演出したりすることで、消費者や有権者の購買意欲や支持率を高めようとするのです。
権威への服従原理は、社会生活を円滑にするために必要な場合もありますが、一方で、権威の濫用や差別などの問題を引き起こす可能性もあります。権威への服従原理を理解し、その影響力を適切に受け止めることが重要です。