不気味の谷現象とは
不気味の谷現象とは、ロボットやCGなどの擬人化された存在が、ある程度人間に近づくと、逆に不気味さや嫌悪感を抱くようになるという心理現象です。
森政弘博士によって提唱され、ロボット工学をはじめ、美学、芸術、心理学、生態学など様々な分野で研究されています。
不気味の谷の形状
不気味の谷現象は、擬人化された存在の「人間らしさ」と「好感度」の関係をグラフで表すと、谷のような形になることから名付けられました。
- 低擬人化領域: 人間からかけ離れた存在(例えば、掃除ロボットなど)は、不気味さを感じにくい。
- 高擬人化領域: 非常に人間に近い存在(例えば、最新の人型ロボットなど)は、親しみやすさを感じる。
- 不気味の谷: ある程度人間に近づいた存在(例えば、古いCGキャラクターなど)は、不気味さや嫌悪感を抱きやすい。
不気味の谷の要因
不気味の谷現象の要因は、完全には解明されていませんが、いくつか考えられています。
- 死んだ人間との連想: 不気味の谷にある存在は、生きた人間と死んだ人間の中間的な存在に見え、死を連想させることが原因と考えられています。
- 不完全な共感: 不気味の谷にある存在は、人間とほぼ同じ見た目でありながら、動きや表情などに不自然さがあるため、共感しにくく、不気味さを感じる原因と考えられています。
- 倫理的な問題: 不気味の谷にある存在は、人間と区別がつきにくいため、倫理的な問題を引き起こす可能性があることも原因と考えられています。
不気味の谷の克服
不気味の谷現象は、ロボット工学にとって大きな課題であり、克服に向けて様々な研究が進められています。
- より人間らしい動きや表情の開発: ロボットの動きや表情をより自然で人間らしくすることで、不気味の谷を克服しようとする研究があります。
- 人間との違いを明確にする: ロボットの見た目や動きをあえて人間とは異なるようにすることで、不気味の谷を回避しようとする研究もあります。
- 倫理的な議論: 不気味の谷にある存在が倫理的に許容されるかどうかについて、議論を進めることも重要です。
その他
不気味の谷現象は、SF作品などでも度々取り上げられており、人間の心理や倫理について考えさせられるテーマとなっています。